元F1ドライバーのラルフ・シューマッハが、自分の甥であるミック・シューマッハ(ハース)にはもうこれ以上クラッシュすることは許されないと語った。
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■今年はミスが増えているミック・シューマッハ
今年ハースで2年目のF1シーズンを迎えている23歳のミックだが、今年はミスを犯してクラッシュすることも多く、チーム代表のギュンター・シュタイナーが先週末のF1モナコGP開始前にもうミスは許されないと警告を発していたほどだ。
2022年シーズン、ミックがここまでに起こしたクラッシュにより、チームはすでに数百万ドルに及ぶ損害を受けたと伝えられており、小規模チームのハースにとって、それは非常に大きな打撃となっていることは想像に難くない。
「ドライバーは自分のキャリアを第一に考えるものだ」
シュタイナーは、そう語ると次のように付け加えた。
「だが、事故を起こし続ければ、キャリアはなくなるよ」
■叔父のラルフもミックに苦言
ミックにとっては叔父にあたるラルフでさえも、先週末のF1モナコGP決勝でマシンが真っ二つになる大クラッシュを起こしたミックに対して批判的なコメントを行っている。
「ほかのドライバーは何の問題もなくあのポイントを通過したが、彼は違った」
『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語った46歳のラルフは次のように続けた。
「最初はガードレールにぶつかってスローパンクチャーを起こしたのかと思ったんだ。だが、彼はラインを外しただけだった。そういうミスを犯すことは許されない」
「自分のレースが台無しになっただけでなく、マシンはあれほどひどいダメージを受けたことでチームの予算にも大きな影響を及ぼすことになってしまったんだからね」
「ミックは、このようなミスを起こしてはならないということを学ばなければならない。それに疑問の余地はないね」
■ミックのミスはマグヌッセンのプレッシャーによるものだとマッサ
F1関係者の中には、フェラーリの支援を受けるミックにはF1で走るだけの力はないのではないか、と考えている者もいるようだ。
だが、ミックの父親であり、通算7度F1王者となった伝説的元F1ドライバーであるミハエル・シューマッハとかつてフェラーリでコンビを組んでいたブラジル人元F1ドライバーのフェリペ・マッサは、ミックには「F1で走る力が十分にある」と考えている。
「彼はF3とF2でタイトルをとっているんだ。間違いでそうなったわけじゃない」
ドイツの『Bild(ビルト)』紙にそう語ったマッサは次のように続けた。
「そして、失礼ながら、F1にはもっと悪いドライバーもいるよ」
マッサは、今年ミックのミスが増えている原因は、昨年のニキータ・マゼピンに代わって新たなチームメートとなった経験豊かなケビン・マグヌッセンの存在が大きいと考えているようだ。
「彼(ミック)が何度か事故を起こしたとしても、僕は驚かないよ。なぜなら、彼はより強い新たなチームメートを迎えたわけだからね」
「ケビン・マグヌッセンがハースで何ができるのかを示している。だから、ミックはもっと自分を限界まで追い込まなければならなくなっているんだ」
「リスクを冒せば冒すほど、ミスもしやすくなってしまうものだ」
■ミックはこれから学んでいくはずだとエディ・ジョーダン
父ミハエル・シューマッハがF1デビューを飾ったジョーダンのチームオーナー兼代表であったエディ・ジョーダンも、モナコで限界ギリギリのレースをすることは、とりわけ今年のようなコンディションにおいては、非常に難しいことなのだと指摘している。
「彼はそこから学んでいくだろう。それによって彼が遅くなることはないね」
「それが彼の物の見方を変えることはあるかもしれないがね」
そう語った74歳のジョーダンは次のように付け加えた。
「彼が無事でよかったよ」。