アルピーヌのチームCEOを務めるローラン・ロッシが、アメリカのモータースポーツ界有数の大物であるマイケル・アンドレッティが自らのチームを立ち上げてF1に参入することを歓迎すると主張した。
2024年からのF1参戦を目指しているアンドレッティは、すでに統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に対して正式に参戦の申し込みを行っている。
そして、アンドレッティとの太いパイプを持つアメリカ出身のザック・ブラウンがCEOを務めるマクラーレンはこれを支持する姿勢であることを表明している。
■多くのF1チームがアンドレッティ参入には否定的
だが、FIA、F1オーナーのリバティ・メディア、そして少なくとも既存F1チームの半数以上は11番目のチームとしてアンドレッティが加わることを前向きにはとらえていないと伝えられている。
現在F1チームたちはF1の収入の中から成績に応じて報酬が配分されることになっている。つまり、アンドレッティが参戦することによってこれまで10チームで分け合っていた報酬を11チームで分け合うことになれば、自分たちの取り分が減ってしまうことになるためだ。
さらに、アンドレッティのF1参入にあたってはほかにもクリアしなくてはならない課題がたくさんあるのも事実だ。中でも大きいのは資金問題だろう。
新規参戦にあたってはFIAに250億円もの巨額の保証金を支払うことが義務づけられているが、それ以外にもF1チームを構成してマシンを建造するためには、ファクトリーの建設やスタッフの雇用などに大金を投じることが必要となる。
■プロジェクトに必要なものはすべて持っているとマリオ・アンドレッティ
こうした中、マイケル・アンドレッティの父親であり、1978年のF1チャンピオンでもあるマリオ・アンドレッティは、今季のF1第5戦が開催されたマイアミにおいてドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』から、そうした条件をすべてクリアすることは可能なのかと質問されると次のように答えた。
「我々にはそれができる」
「アメリカのチームとドライバーであれば、関心は爆発的に高まるだろう」
「マイケルは、長期的なプロジェクトに必要なものをすべて持っているよ」
アメリカンモータースポーツ界の大御所である82歳のマリオは、今年10月にテキサス州オースティンで行われるF1アメリカGPにおいて古いマクラーレンF1マシンでデモンストレーション走行を行うことになっている。
■アンドレッティが参戦すればF1の収益も増えるとアルピーヌのボス
一方、アンドレッティはすでにルノーとの間にエンジン供給契約を結んだと伝えられている。つまり、もしアンドレッティのF1参入が認められた場合、そのマシンにはルノーエンジンが搭載されることが確定しているということだ。
当然ながら、ルノーの事実上のワークスF1チームであるアルピーヌのローラン・ロッシCEOは、アンドレッティのF1参入を支持している。
「私は非常に好意的だよ。それによってアメリカでのビジネス拡大にもつながるからね」
「それがショーに貢献し、アメリカでの関心を直接的に高めるだろうから、それが収益につながると思っているよ」
そう語ったロッシは次のように付け加えた。
「我々に必要なのは、それが(収入の)希薄化を補うに足るものであることを証明することだ。直感的にはそうできると思うが、まずはきちんと仕事をしよう。そうすればわかるだろう」。