先週末にイモラで行われた2022年F1第4戦エミリア・ロマーニャGPで完全勝利を収めたマックス・フェルスタッペンだが、実際のところレッドブルの2022年型F1マシンがフェラーリに追いつくことができたという確信を持つには至っていないようだ。
■イモラでフェラーリとレッドブルの力関係が逆転?
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、レッドブルでは今年最初のスプリントが開催される週末に向けて主要なマシン変更を導入するという「リスク」を冒したが、それが報われたとレース後に語っていた。
実際のところ、フェラーリの地元イタリアのイモラ・サーキットでフェルスタッペンは金曜日に行われた予選でポールポジションを獲得。決勝でのスターティンググリッドを決める土曜日のスプリントでもトップチェッカーを受け、日曜日の決勝でもファステストラップを刻みながら危なげなく今季2勝目を飾るというまさに完璧な勝利を収めた。
一方、現在ほかのドライバーに大差をつけてドライバーズランキングトップに立っているフェラーリのシャルル・ルクレールは、それまでの3レースで見せていた強さがなく、決勝では終盤にミスを犯して6位に終わってしまった。
今季序盤はフェラーリが圧倒的な強さを誇っていたが、イモラを境にレッドブルの勢いがフェラーリを上回り始めたと見ている者も多いようだ。
■「現時点ではまだわからない」とフェルスタッペン
しかし、レッドブルがここでフェラーリに追いつき、追い越すことができたのかと質問されたフェルスタッペンは次のように答えた。
「それは常に答えるのが難しい問題だね」
「メルボルン(第3戦オーストラリアGP)を見れば、間違いなく違うよ。結局のところ、細かいことすべてが重要なんだ」
「マイアミ(第5戦/5月8日決勝)はどうなるか全くわからないし、一部の人にとってはいちかばちかみたいな感じじゃないかな。僕たちがうまくやれればいいけれど、現時点ではわからないよ」
■イモラではレッドブルが最速だったとフェラーリのボス
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットはもちろんイモラでの結果に失望している。だが、ドライバーたちが自分たちのホームグラウンドでミスを犯したことがそうした結果につながっただけだと考えているようだ。
「ルクレールはDRS圏内に入ろうとプッシュしていた。そこでちょっとしたミスを犯して馬鹿げた結末を迎えてしまったんだ」
「どちらのドライバーももっとうまくやれていたはずだよ」
そう語ったビノットだが、レッドブルがイモラに持ち込んだ改良マシンが効果を発揮したのも確かだと次のように続けた。
「我々もそれは認めなければならない」
「我々のマシンは確かに最速ではなかった。しかし、その力を最大限に引き出すこともできなかった」
「だが、まだシーズンは長いし、これから改良パーツも投入していくことになるから、まだ笑顔を保っていられるよ。そしてドライバーたちはもっとうまくやるチャンスを再び得ることができるだろう」
■ここまでの違いは“ドライバーのミス”だとジャック・ビルヌーブ
こうした中、1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブも、オランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』誌に現時点では「レッドブルが本当に差を詰めたかどうかは判断できない」と語り、次のように続けている。
「ここまでの違いは、ルクレールとサインツはミスを犯していることだ」
「レッドブルが苦しんでいたのは主に技術的な問題だった」
「ルクレールは自分ひとりでミスをしたが、それはタイトルを争っているときには許されないことだ」
「フェルスタッペンはもはやこの手のミスは犯さないよ」
「本当に長いシーズンだし、総合的に考えれば、最終的には互角なんじゃないかな」
そう述べた51歳のビルヌーブは次のように付け加えた。
「昨年までは、マックスがタイトルを戦えるのかどうか、誰もが疑問に思っていた。だが、彼は完璧だった。これから、ルクレールもチャンピオンの武器を巧みに操ることができることを示さなければならないよ」