フェラーリとカルロス・サインツが2023年に向けて新たな契約を結ぶことになるのは確実だと考えられているが、最近の情報によれば、今週末に第4戦エミリア・ロマーニャGP(24日決勝)が開催されるイタリアのイモラ・サーキットにおいてそれが正式に発表される可能性もあるようだ。
伝えられるところによれば、フェラーリとサインツも基本的には契約の延長に合意しているものの、フェラーリ側が2023年の1年契約を望んでいるのに対し、サインツ陣営は2024年に向けた“オプション”をより確実なものにすることを強く望んでおり、ここが最終的な交渉の焦点となっているようだ。
この点で両者が最終合意にたどり着くことができれば、今週末にサインツの2023年以降のフェラーリ残留が発表されることになるかもしれない。
■サインツは今年のルクレールには勝てない?
フェラーリがスペイン人ドライバーであるサインツのパフォーマンスに満足しているのは明らかだが、すでに2024年までの契約を結んでいるチームメートのシャルル・ルクレールが事実上のフェラーリナンバー1ドライバーであることに疑いの余地はないだろう。
開幕戦バーレーンGPで優勝、第2戦サウジアラビアGPで2位、第3戦オーストラリアGPで優勝を遂げたモナコ出身ドライバーのルクレールはここまでに71ポイントを稼ぎ、ランキング2番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)に34ポイント差、ランキング3番手のサインツには38ポイント差のリードを奪っている。
サインツも開幕戦で2位、第2戦では3位と健闘を見せたものの、第3戦が行われたメルボルンのアルバート・パーク・サーキットではコースオフしてリタイアという最悪の結果に終わってしまっている。
元F1ドライバーのマルク・スレールは、ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に対し、サインツが今年のルクレールに勝つのは難しいだろうと次のように語っている。
「昨シーズンのサインツはルクレールより少し良かったくらいだ」
「だが、2021年型フェラーリは今年のクルマに比べて運転しやすかったんだ」
「それは、フェラーリは限界でコントロールするのが難しいからなんだ。そして、そこがルクレールの特別な才能が勝るところだよ」
■チームオーダーを出すつもりはないとフェラーリのボス
しかし、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、ルクレールとサインツにチームオーダーを出すつもりはなく、今のところ自由に戦わせるつもりだと次のように語った。
「たった3レースが終わっただけだし、これからまだ19レースもしくは20レースも行われると期待しているところだ」
「だから、選手権が終わるのはまだずっと先のことだよ」
「我々のドライバーはお互いに自由に競争することができるし、我々も彼らが最高の結果を目指して戦う姿を見られるなら満足だよ」
■フェラーリの突然の躍進に驚くメルセデス
一方、今年から昨年までとは大きく異なる新たな技術レギュレーションが導入されたとは言え、フェラーリが開幕から圧倒的な強さを示していることにはライバルチームも驚きを隠せないようだ。
「以前は、彼らのエンジンは14馬力ほど後れをとっていたんだ。今は、彼らは突然14馬力上回ってきた」
2014年以降、最強とうたわれたエンジンパワーを武器に昨年まで8年連続でコンストラクターズチャンピオンとなったメルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO兼代表)はそう語ると、次のように付け加えた。
「非常に短期間のうちにこれほど大きな進歩を遂げるなんて、私はこれまで一度も見たことがないよ」