アストンマーティンにとって、2022年シーズンのここまでは、想像しうるほぼすべての面で悲惨なものだった。
■不運が重なるアストンマーティン
セバスチャン・ベッテルの新型コロナウイルス感染に始まり、アストンマーティンの新セーフティカーは世界王者マックス・フェルスタッペンに「亀」呼ばわりされ、チームオーナーのローレンス・ストロールは「F1に必要なのはお金だけではないことが分かった」と言う。
率直な物言いで知られる1997年の世界王者ジャック・ビルヌーブは、ストロールの息子であるランスを常に批判している。
51歳のビルヌーブは、この億万長者がF1は衣料品チェーンや時計ブランドではないことが分かったのだろうと主張している。
「特に、自分の息子のためにチームを運営しているなら、解決策を見つけるのはより複雑になる」
ベッテルが新型コロナウイルスから復帰し今季初戦となったメルボルンは、4度の世界王者の全キャリアの中でも最悪の週末の一つだったと言える。
しかも、F1の全新レギュレーション時代の開幕3レースを終えた今、アストンマーティンは全チームの中で唯一、1ポイントも獲得していないチームとなってしまった。
しかし、ベッテルはレースで単独クラッシュをした後、メディカルセンターから戻るとこう主張している。
「チームの雰囲気はいいよ。次のレースは難しいだろうけど、これ以上悪くなることはないだろう。マシンはポテンシャルを秘めているが、まだそこに到達していないんだ」
■ベッテルがかわいそう
しかし、オーストラリアGPの前から、この悲惨な状況はベッテルを早期リタイアに追い込むのではないかとの憶測が流れていた。
「ベッテルがかわいそうに思えるほど、ここはひどかった」と同じドイツ人のラルフ・シューマッハは『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に語っている。
一方、ビルヌーブはオランダの『Formule 1(フォーミュラ・ワン)』に、「ストロールの予選でのラティフィとの一件は恥ずかしかったけど、ベッテルはむしろ家にいたいと思っていると思う」と語った。
「彼はフェラーリでもミスを犯したが、この週末のミスはそれとは別物だ。彼らは大きな打撃を受けたわけではないが、スポンサーはそれを好まない。ダメージはもちろん、ポイントを失うからお金もかかるんだ」
「今問題なのは、ローレンス・ストロールが何をしているかということだ。もし彼がドライバーをビジネスと同じように扱うのであれば、それはいい会話ではない」
「長い目で見ても、この状況を解決するのは簡単じゃない。彼らはウィリアムズやハースに匹敵するマシンを作り上げたが、それらのチームはもっと少ない予算でそれを実現したからね」とビルヌーブは付け加えた。
■アストンマーティンのセーフティカーは「亀」
また、最後の侮辱として、F1ドライバーたちはアストンマーティンのセーフティカーを非難しており、ジョージ・ラッセルはメルセデスのセーフティカーの方が「1周5秒速い」と指摘した。
また、フェルスタッペンは「セーフティカーは亀みたいだった」と語った。
「信じられない。メルセデスのセーフティカーの方がずっと速いよ。ひどいもんだ」