昨年までとは大きく異なる新技術レギュレーションが導入された2022年のF1だが、グラウンドエフェクト効果を取り入れた新たなシャシーや、より強化された安全対策への対応により、今のところルールで規定された最低重量(798キログラム)を実現できているチームはないようだ。
■現在一番重いF1マシンはアストンマーティン
伝えられるところによれば、各チームの2022年型F1マシン重量は現時点ではおおよそ次のような数値になっていると考えられているようだ。(単位は全てキログラム)
アストンマーティン 815
レッドブル 810
メルセデス 806
マクラーレン 805
ハース 803
フェラーリ 800
アルピーヌ 800
ウィリアムズ 800
アルファタウリ 800
アルファロメオ 800
これによれば、現時点においてドライバーズランキングでトップに立っているシャルル・ルクレールのフェラーリF1マシンと、2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのレッドブルF1マシンには10キログラムもの重量差があることになる。
■レッドブルはフェラーリに対して1周0.3秒の重量ハンデ
実際のところ、予選やレースではフェラーリに近いパフォーマンスを発揮することができているレッドブルだけに、今後フェルスタッペンがタイトル争いに絡んでいくためにはマシンの信頼性向上とともに軽量化が大きな鍵となるのは間違いなさそうだ。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は次のように語っている。
「我々のマシンは明らかにフェラーリより重いよ。ほぼ10キログラムの差があると思っている」
「それをラップタイムに換算すると、1周あたりコンマ3秒の差になる」
「しかし、重量を減らすには金がかかる。金銭的な問題が主だが、それは信頼性の要素にもつながるんだ」
「バジェットキャップ(予算上限)があるため、解決するのは難しい問題だよ」
■問題は空力と重量だとアストンマーティン
一方、現時点で一番重いマシンを抱えているアストンマーティンに関しては、それが実際にレースでのパフォーマンス不足につながっているのは間違いないようだ。
ここまでにまだ1ポイントも獲得できていない唯一のチームとなっているアストンマーティンだが、チーム代表を務めるマイク・クラックは次のように語っている。
「マシンはポテンシャルを秘めているが、エアロダイナミクスと重量に問題を抱えているんだ」
「重量に関してはすでに進歩を遂げているが、空力に関してはそれができていない。バウンシング(ポーポイズ現象)が開発の壁になっているんだ。非常に苛立たしいよ」
■バジェットキャップ引き上げには反対だとアルピーヌCEO
こうした中、現在世界的にインフレーション傾向が生じておりマシンや機材の輸送費が高騰してきていることなどを理由に、レッドブルを含むいくつかのチームがバジェットキャップの引き上げを求める動きを見せている。だが、アルピーヌのチームCEOであるローラン・ロッシはこれに反対している。
「ルールはルールだよ。今、バジェットキャップの概念を骨抜きにしようとするのは間違いだ」
「ビッグチームが以前ほどマシンに金をかけられなくなったからこそ、今のF1はとても面白くなっているんだ」
そう語ったロッシは次のように付け加えた。
「もし本当に輸送費用の問題だけなら、補助予算はそのためだけに使うことを明確にする必要があるだろう」
約800キログラムの車重を実現しているチームのひとつであるアルピーヌは、第3戦オーストラリアGP予選でフェルナンド・アロンソがポールポジションさえ狙えそうなパフォーマンスを示すなど、今季はこれまでよりも順調な滑り出しを見せている。