現在、フル電動フォーミュラカーによる世界選手権であるフォーミュラEで活躍するドイツ出身のアンドレ・ロッテラーが、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーがフォーミュラEに対して行った批判は、実はフォーミュラEの重要性を示すものにほかならないと主張した。
■レッドブルF1代表「音も情熱も雰囲気もない」
ホーナーは最近、フォーミュラEが「うまくいっていない」のは人々がそれに関心を抱いていないからだと示唆し、『OMR』のポッドキャストに次のように語っていた。
「大きな音もなければ、情熱もない。雰囲気もまったくないんだ」
「今では、メーカーが再びあの選手権から撤退する状況となっているよ」
ホーナーが指摘したように、すでにアウディとBMWが撤退したフォーミュラEだが、メルセデスも今シーズン限りで撤退することが明らかとなっている。
■ロッテラー反論
しかし、現在ポルシェのフォーミュラEチームでドライバーを務める40歳のロッテラーによれば、ホーナーの批判は実は「褒め言葉」でもあるという。
「それは、彼にとってフォーミュラEが間接的に重要であることを示すものだよ」
「しかし、これらは比較することができない2つの異なる世界なんだ」
「この選手権には未来がある。メーカーにとってe-モビリティ(電動車両)を提示するための選択肢は多くないからね」
「もしうまくいかなかったら、フォーミュラEはここに存在しなかっただろう」
「最初は困難もあったが、その足跡は大きいよ。電気自動車がどのようなパフォーマンスを発揮できるのかを知らしめたんだからね」
「それをモータースポーツと融合させているのは、カッコいいことだよ」
■フォーミュラEにペイドライバーはいない
しかし、2014年にケータハムから1レースだけF1で走った経験を持つロッテラーが、フォーミュラEの方がF1よりも優れていると考えている最大のポイントは、ドライバーの質だという。
「どちらのシリーズにもトップクラスのドライバーがいるが、平均すればフォーミュラEの方が多いよ。なぜなら、彼らはみなプロフェッショナルであり、金を持ちこんでいる者は誰もいないからね」
2003年から2017年まで長期間にわたってフォーミュラ・ニッポン、スーパー・フォーミュラ、GT選手権などで活躍していたことから日本でも非常によく知られたドライバーであるロッテラーはそう語ると、次のように付け加えた。
「誰もが才能によって自分の居場所を得ているんだ。F1では、何人かのドライバーは(商業的な)パッケージがなければ居場所はないはずだよ」