F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の技術責任者を務めるニコラス・トンバジスが、F1にはまだ「DRS」システムを廃止する準備ができていないと認めた。
革命的とも言える新たな技術レギュレーションの導入により、F1に新たな「グラウンドエフェクト時代」が到来しているが、かつてフェラーリのチーフデザイナーを務めていたことでも知られるギリシャ出身エンジニアのトンバジスは、今季の序盤2レースでは嬉しい驚きがあったとしている。
「支配力のあるマシンが1台だけだったとしても、私は驚かなかっただろうね」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』紙にそう語ったトンバジスは次のように続けた。
「だから、それよりもいいスタートを切ることができたということだ」
「それに、今後数か月もすればほかのマシンもトップ争いに加わってくると私は予想しているよ」
しかし、トンバジスは、今年は昨年のように最終戦まで白熱したタイトル争いが続くとは考えていないようだ。
「昨年のように、最終レースで2人のドライバーが同ポイントになるような状況には運も必要だ。そして、それはルールの目的ではないよ」とトンバジスは主張している。
一方、今年からグラウンドエフェクト効果を持つF1マシンとなったことから、意図的に空気抵抗を削減してオーバーテイクをしやすくするDRSはもはや必要ないのではないかという声もあるが、トンバジスはF1にはまだその準備ができていないと主張している。
「それをなくすのはいいことだろう」
「だが、非常に大きな負荷を生み、低減されたとはいえ後流効果もあるマシンでは、それは無理な話だ」
そう語ったトンバジスは次のように付け加えた。
「しかしながら、DRSエリアを短くすることはできる。我々も簡単にオーバーテイクできることは望んでいないよ」