今年のF1では、マシン全体にカラーリングを施さず、カーボンファイバーの下地を一部そのまま露出させる手法が流行している。
しかし、それは美観のためというわけではなさそうだ。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、ほとんどのチームがマシン重量オーバーの問題に取り組むため、2022年型F1マシンの塗料を減らす努力をしているという。
今年のF1マシンは、最低重量が昨年よりも46kgも重くなっている。
しかし、F1チームたちは今年導入された新たな技術レギュレーションに定められた安全対策やさまざまな技術対策を取り入れたマシンを設計製造したものの、結果として最低重量を基準レベルにまで下げることができていないチームがほとんどとなっている。
最低重量をオーバーするマシンで戦ってもルール上は何も問題はないが、当然、レースを戦う上ではマシンが重ければ不利になってしまう。
伝えられるところによれば、その基準に合わせたマシンを製造できたのはアルファロメオだけだと考えられている。
アルファロメオのテクニカルディレクターを務めるジャン・モンショーはこれに関して次のように語った。
「我々はこれまで信頼性を持ってシーズンをスタートさせながらも、重すぎるマシンを抱えてしまう傾向があったんだ。我々としては、それはもう避けたかったんだ」
こうした中、ライバルチームの中には、以前は塗装されていた部分を、黒いカーボンファイバーの下地をそのまま露出させる形に変えてきているところもある。
アルファロメオのチームマネージャーを務めるベアト・ツェンダーによれば、マシン全体に塗装を施した場合にはそれだけで車重が6キログラムほど増加することになるという。
アストンマーティンのチーフテクニカルオフィサーであるアンドリュー・グリーンも、マシンの塗料を削減することに取り組んでいることを認め、次のように語っている。
「我々は350グラムを節約するためにサイドポッドとリアウィングの一部を塗装していないよ」
ビッグ3チームと呼ばれるレッドブル、フェラーリ、メルセデスも今季はウィングの塗装を行っておらず、マクラーレンの現在のマシンは新車発表時よりも明らかに黒く見える部分が多くなっている。
マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルも、アルファロメオに言及しながら次のように語っている。
「すべてのチームにとって重量が問題となっている。ただし、1チームを除いてね」