レッドブル首脳のヘルムート・マルコは、今年のF1タイトル争いはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)の一騎打ちになり、そこにメルセデスが介入するのは難しいだろうと考えている。
●【2022F1第2戦サウジアラビアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるマルコは、「今では新たなライバル関係になっている」と語り、今年はフェルスタッペンのライバルがルイス・ハミルトン(メルセデス)ではなくルクレールに変わったと示唆している。
「メルセデスは現時点では少なくとも0.5秒の後れをとっている。ひょっとすると、彼らが問題を解決できるかもしれない」
そう続けたマルコは次のように付け加えた。
「だが、彼らが改善する間、我々だって眠ってはいないよ」
■「ハースについていけなかった」とハミルトン
実際、先週末に行われた今季の第2戦サウジアラビアGPを15番グリッドからスタートしたハミルトンは、なんとか10位に食い込んで1ポイントを獲得できたものの、現時点ではとても勝利やタイトルを狙える位置にはいないと認めている。
ハミルトンは、ジェッダ市街地サーキットで行われたレースを終えると次のように語った。
「僕が知っているのは、最終的にハースについていけなかったということだけだ」
今年からハミルトンのチームメートとなったジョージ・ラッセルの方がジェッダ市街地サーキットではより競争力を発揮していた。だが、そのラッセルも次のように語っている。
「現時点での僕たちは赤子の歩みだし、もっと大きな飛躍が必要だよ」
「僕たちにはそれができると確信している。だけど、それがいつになるのかはわからない」
■フェラーリの方がライバルとして好ましいとマルコ
一方、マルコはサウジアラビアGPでルクレールとのバトルを制して今季初勝利をあげたフェルスタッペンの2022年のライバルがハミルトンではなくルクレールであることを歓迎しているようだ。
「ルクレールやフェラーリとは、メルセデスのときよりもいい戦いになると思う。今はこれまでよりもスポーツ的なレベルになっているよ」
そう語ったオーストリア出身の78歳となるマルコは次のように付け加えた。
「まだ2レースしかしていないのはわかっている。だが、メルセデスのときのようにエスカレートすることはないと思うよ」
■メルセデスがライバルに復帰するのは難しい
さらに、マルコは、新たな技術レギュレーションが適用される2022年に向けてメルセデスが用意したマシンは明らかに競争力が欠けており、シーズンを通じて今の劣勢を挽回することは難しいだろうと考えているようだ。
「現在の状況からすれば、マックスとルクレールによる戦いになるだろうね」と語ったマルコは次のように付け加えた。
「たとえメルセデスが追いついてきたとしても、彼らがレース距離でこのペースに対抗できるとは思えないよ」
■ドライバーとしてより成熟したフェルスタッペン
一方、2021年に初のF1ドライバーズタイトルを獲得し、新たなF1チャンピオンとなったことで、フェルスタッペンも昨年よりもさらに成長したのは間違いないようだ。
昨年のハミルトンとの戦いではお互いにギスギスした関係にあったフェルスタッペンだが、今年はライバルとよりフェアな戦いを繰り広げることができているようだ。
実際のところ、開幕戦バーレーンGPと先週末のサウジアラビアGPでトップ争いを展開したフェラーリのルクレールもレース後に次のように語っている。
「マックスと僕の間には常に尊敬の念があった。とりわけ、レースがこのように終わったときにはね」
■ルクレールとのバトルはハードだが“フェア”
フェルスタッペンと同じオランダ出身の元F1ドライバーであり、2006年にはレッドブルのドライバーを務めた経験を持つロバート・ドーンボスも、サウジアラビアGPでのフェルスタッペンとルクレールのバトルを振り返りながら次のように語った。
「一瞬、マックスがちょっとアグレッシブすぎるんじゃないかと思ったけど、彼も本当に成熟してきたね」
「彼はハミルトンとは違う戦い方をしているし、もっと考えているね」
「ルイスとのときは“新たな王がここにいる”ということを示したがっていたという印象があった」
そう語った40歳のドーンボスは次のように付け加えた。
「今、ルクレールとはハードだけれどフェアにレースをしているのがわかるよ」