フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が、新たな技術レギュレーションのもとで設計製造された2022年型F1マシンを好きなドライバーは“誰もいない”と語った。
今年のF1マシンは、シャシーそのものがダウンフォースを発生させるグラウンドエフェクト効果を持つものになっており、これによりコース上でのオーバーテイクが増えることになると期待されている。
しかし、新レギュレーションによってF1マシンの重量が大幅に増加したこともあり、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)などは、低速コーナーでの2022年型マシンの感触はまるで「トラック」を運転しているようだとコメントしている。
こうした中、2005年と2006年のF1チャンピオンであり、キミ・ライコネンが引退したことによって現役最年長F1ドライバーとなった40歳のアロンソは、母国スペインの『Forbes Espana(フォルベス・エスパーニャ)』に次のように語った。
「時速300kmではフロアの下にあるダクトがダウンフォースを発生させるため、より速く走れそうな感覚がある」
「だけど、低速コーナーではまだ大変な労力を要するんだ。このクルマの足回りはすごく硬くて、以前のものより車高も低くなっている。僕たちの中でこれが好きな者など誰もいないよ」
「2021年には1分17秒で周回できていたのに、今は1分22秒から始めようとしている。もし、ドライバーひとりひとりに聞けば、彼は、正直なところ1分10秒で周回したいと言うだろうね」
「環境にやさしいガソリンによって馬力が下がった重いマシンになっているんだ」
そう語ったアロンソだが、これからのF1マシンが環境問題への対応も必要になるのは確かだと次のように続けた。
「それが正しい道だよ。F1は、環境に配慮したこうした技術の方向にどんどん向かいつつある」
「理論的にはF1マシンはもっと同じものになるだろう。フロントウイングやリアのウイングのように、原則として共通のパーツになるからね。その部分に関してはあまり自由に開発できないし、このスポーツがもっとバランスのとれたものになるのはいいことだよ」
しかし、アロンソは、今年から導入されることになった18インチタイヤに関しては不満を覚えているようだ。
「以前よりもかなり早くグリップが失われるんだ。2005年から使用されていたものの方が好きだけど、もはやそれは存在しない。だから、今のもので満足しているよ」
実際のところ、アロンソは2022年型アルピーヌF1マシンに関してはあまり楽観視することはできないと考えているようだ。
「僕たちも進歩したけれど、ほかのチームが僕たちよりももっと進歩しているのが実情だ」
そう語ったアロンソは次のように付け加えた。
「ゆっくりと始めて、様子を見ることになるだろうね。だけど、バルセロナ(2月に行われた1回目のプレシーズンテスト)のあとで、僕たちよりも賢いやり方で仕事をしたライバルもいくつかあると思っているよ」
一方、2021年シーズン前に起きた自転車事故で顎を骨折する大けがを負い、昨シーズンはチタン製のプレートが顎に埋め込まれたままで戦っていたアロンソだが、今年はすでにそれを取り除く手術を受け、体調も「100%」に戻っているという。