ルイス・ハミルトン(メルセデス)が、自分がF1を引退すると語ったことは一度もなかったと主張した。
ハミルトンは2021年のF1最終戦アブダビGPのファイナルラップで劇的な形でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に逆転を許し、通算8回目のドライバーズタイトル獲得に失敗。
その直後、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、アブダビGPでF1レースディレクターのマイケル・マシが誤った手順でレースを再開させたことに失望したハミルトンはこのままF1を引退する可能性もあると示唆。
それ以降、ハミルトンが長期にわたって沈黙を貫いていたことから、本当にハミルトンがF1を去る可能性もあるのではないかとの噂がずっとメディアを賑わせる状況となっていた。
18日(金)に行われたメルセデスの2022年型F1マシン発表イベントに参加し、今季も新たなチームメートであるジョージ・ラッセルとともに走ることが確定した37歳のハミルトンは、そうした噂に関して質問されると次のように答えた。
「僕がやめると言ったことは一度もないよ。僕は自分のやっていることが大好きなんだ」
しかし、ハミルトンも引退を考えたことは「何度もある」と認めている。
「明らかに僕にとって困難な時期だったよ。そして、それは僕が一歩退いて続けることに集中するために本当に必要な時間だったんだ」
そう語ったハミルトンは次のように付け加えた。
「最終的には、次のシーズンに向けて攻めることを決意し、トトやジョージと一緒に働くことにしたんだ」
一方、ハミルトンは今回FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)がF1レースディレクターだったマイケル・マシを解任し、新たなレースディレクション体制を構築するとしたことを支持している。
「このスポーツにおいてこういうことが誰にも二度と起こらないようにするために、僕たちはこの機会を使わなければならない」
「FIAが言ったことはすべて歓迎するけど、僕たちはしっかりと目を光らせて、実際にその変化を確認しなければならないよ」
そう語ったハミルトンは、今回のFIAの発表は、以前FIAに対して抱いていた「信頼と信用」をすべて再構築するための「最初の一歩」だとし、次のように付け加えている。
「でも、必ずしもそれですべてが変わるとは限らない。実際の行動を見なければならない。そして、それには少し時間がかかると思うよ」
こうした中、元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、メルセデスのヴォルフやハミルトンらによってかけられた政治的圧力により、FIAはマシを解任するしかなかったのだと考えている。
「個人的にはこの決定は残念だと思っている。マシはいいレースディレクターだったからね」
母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「しかし、FIAには模範を示せと大きな圧力があったことは簡単に想像できる。マシと共に構造を変えることもできたかもしれないが、どうやら溝が深すぎたようだ」