バルテリ・ボッタスが、2021年のF1シーズンを迎える前にはすでに、2022年にメルセデスで走るチャンスがほとんどないことは分かっていたと認めた。
メルセデスは2021年9月に、メルセデスの育成ドライバーであり、過去3年にわたってウィリアムズで走っていたジョージ・ラッセルを2022年にルイス・ハミルトンのチームメートに据えることを発表。2017年から5年に及んだボッタスとメルセデスとの関係は2021年で終わりを告げることになった。
そして、ボッタスは2022年に向けてアルファロメオへの移籍を決断。契約期間は3年だと考えられている。
アルファロメオとの契約に至る前の数か月を振り返りながら、ボッタスは次のように語った。
「トト(メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフ)は、ある時点で決断を下さなければならないことが分かっていた」
「僕も、もし今後2年以上残留できなかったら、間違いなく新しいことに取り組むことになるのが分かっていた。トトはそのチャンスはないと言ったし、結局のところ、僕にとっては極めて簡単な決断だったよ」
通算7回のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つハミルトンはその決定に不満であることを認めていた。そして、ハミルトンは、ボッタスがこれまでのF1キャリアにおいて最高のチームメートだったとも語っていた。
「それってかなり失礼だね。僕が何か悪いことをしたかな?」
冗談めかしてそう語ったハミルトンの元チームメートであるニコ・ロズベルグは、次のように付け加えた。
「僕があそこにいたときとはまったく違っていたし、バルテリの功績は大きいよ」
実際のところ、ハミルトンとロズベルグはカートをやっていたころからずっと友人関係が続いていたが、メルセデスで両者がチームメートになってからはそれに変化が生じ、年々関係が悪化の一途をたどるようになっていた。
2016年にやっとハミルトンに勝利して初のF1タイトルを手にしたとたんにF1を引退したロズベルグは、ハミルトンを打ち負かす唯一の方法は「彼の頭に入り込んで」、ハミルトンを「不安定にする」ことだと認めており、ボッタスが犯した一つの間違いはメンタルコーチを利用しなかったことだとほのめかしている。
しかし、それに対してボッタスは次のように語った。
「僕にはメンタルトレーニングは役に立たないんだ」
「つらい時期を過ごしているとき、僕が最初に接触するのは、鏡の中の男だよ」
「僕はニコ・ロズベルグじゃない。僕はバルテリだ。そして、何が自分にとってベストなのか、僕には分かっているんだ」
一方、2022年にアルファロメオでF1デビューすることになる初の中国人F1ドライバーである周冠宇は、これまでトップチームのメルセデスで走っていたボッタスが自分のチームメートになることを歓迎しているようだ。
「ルーキーにとって、最初のシーズンでボッタスがチームメートになること以上にいい選択肢はないよ」
「彼は僕の成長を助けることができる。彼はとてもオープンなドライバーで、チームや僕と情報を共有し、話し合ってくれるんだ。それは本当に助かるよ」
そう語った22歳の周は次のように付け加えた。
「結局のところ、ハミルトンに予選で勝てるドライバーはほんのわずかだし、彼はそのうちの1人なんだ」