マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンは、ひとたび2022年のF1シーズンがスタートすれば、昨年の最終戦アブダビGPでF1が受けた「傷」も癒えるだろうと考えている。
有力な情報筋によれば、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、現在昨年のアブダビGP決勝で起こった問題について調査・分析を行っているところだ。
しかし、そこから漏れ伝えられている情報によれば、F1レースディレクターを務めるマイケル・マシが多くのドライバーとチームからの支持を失ってしまっていることは明らかだという。
F1関係者やファンの中には、アブダビGP決勝終盤にセーフティカーが導入された際、マシがルールに違反する手順によって残り1周でレースを再開させ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がルイス・ハミルトン(メルセデス)を逆転するチャンスを与えたのは、F1が堕落したことを表すものだと批判している者も少なくない。
こうした中、マクラーレンF1チームを率いるブラウンは最近次のように語った。
「時間が経ち、新しいシーズンが始まれば、もうその傷は癒えるだろう」
「しかし、FIAはすべてを明らかにする必要がある。何が起こったのか、なぜあのようなことになったのか、何が正しくて、何が間違っていたのかをね」
「このようなことが二度と起こらないような措置がとられたことを証明しなければならないよ」
実際のところ、マシにはすでに更迭されることが伝えられているようだとの噂もあるが、元F1ドライバーのマーティン・ブランドルはマシが「スケープゴート」にされる懸念もあるとコメントしている。
しかし、1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、マシがこのまま追放されるとは考えていないようだ。
「我々は彼がプレッシャーを受けていたことを忘れてはならないよ。特にシーズン終盤の5レースではチームのボスたちが彼の耳元で咆哮していたんだからね」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にそう語ったビルヌーブは次のように続けた。
「私はマシが間違いばかりを犯したとは思っていないよ。アブダビでレースを再開したのは正しかった。ただ、僕なら1周早く、周回遅れのクルマを前に行かせていただろうね」
「必要なのはもっと明確なルールだ。そして、常に同じレーススチュワードを配置する時が来たのかもしれないね」
そう語った50歳のビルヌーブは次のように付け加えた。
「代替案は、すべてを自由にやらせることだろう。そうすれば、アメリカではそれがお決まりだけど、事件が起きれば拳が飛び交うことになるだろうね」