マクラーレンのインディカーチームであるアロウズ・マクラーレンSPに所属し、2021年シーズンをランキング3位で終えたメキシコ人ドライバーのパトリシオ・オワードが、2023年にF1シートを獲得したいと考えていることを示唆した。
22歳のオワードは、インディカーで好成績を収めたことから、2021年のF1シーズン終了後にアブダビで行われた若手ドライバーテストでマクラーレンのF1マシンをテストする機会を得ていた。
12月14日にヤス・マリーナ・サーキットで行われたテストで2021年型F1マシンをドライブし、全体の4番手となるタイムを刻んだオワードはセッション後に次のように語っていた。
「インディカーも速いと思っていたけれど、このクルマはクレイジーだね」
「すごいだろうなとは予想していたんだけど、その10倍もすごかったよ」
オワードは、現時点での自分の目標はアロウズ・マクラーレンSPに初のタイトルをもたらすことと、世界3大自動車レースのひとつであるインディ500で勝利することだと主張したものの、将来的にF1に転向するチャンスがあればそれをつかみにいくつもりであることを隠してはいない。
「将来、F1が自分の選択肢になるかどうかなんて誰にもわからないよ」
2019年には日本のスーパー・フォーミュラで3レースを戦ったこともあるオワードはそう語ると次のように付け加えた。
「もちろん、もしチャンスがあれば、それをつかみにいくだろうね。僕のような立場のドライバーなら誰でもそうするだろう。 それがF1だよ」
実際のところ、2022年のF1シートはすでに埋まってしまっているが、もし仮に空きがあったとしてもオワードが2022年にF1で走ることは不可能だったという事実がある。
ドライバーがF1で戦うためにはスーパーライセンスを獲得しなくてはならないが、そのためには下位カテゴリーで直近3年間のうちに40ポイント以上を獲得する必要がある。そして、オワードは現時点ではスーパーライセンス発給に必要なポイントをまだ確保できていないのだ。
FIAのスーパーライセンスポイントシステムでは、インディカーシリーズで年間1位だったドライバーは40ポイント、2位は30ポイント、3位は20ポイント、そして4位は10ポイントを獲得できることになっている。
2020年にインディカーでランキング4位、2021年に同3位となったオワードは、現時点では30ポイントを有していることになるが、それではスーパーライセンス発給条件を満たさないのだ。
「僕にはそれがどういうふうに機能するのかわからないよ」
FIAのスーパーライセンスポイントについてそう語ったオワードは次のように続けた。
「インディカー選手権で4位と3位になった者がスーパーライセンスを得られないなんて、ばかげているよ。それに関しては多くのドライバーが同意すると思うよ」
「4位で10ポイント、3位で20ポイントが与えられたけど、僕には40ポイントが必要なんだ。正直な話、そのことにあまりストレスを感じたりはしていないけれどね」
そう語ったオワードは、微笑みを浮かべながら次のように付け加えた。
「僕は今年あと10ポイントとれるように頑張るだけさ」
仮に、オワードが2022年のインディカーシリーズで年間ランキング4位以上となれば、2023年シーズンに向けてスーパーライセンスを取得できることになる。