2021年のF1チャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、今年のタイトルを争ったライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)は来年もレースを続けるべきだと語った。
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフとハミルトンはいずれも16日(木)に行われたFIA(国際自動車連盟)の表彰式典を欠席している。
メルセデスとしてはアブダビGPの結果に対する異議申し立てを行わないことを明らかにしたものの、ヴォルフとハミルトンは実際のところ表彰式典をボイコットすることで自分たちの意思表示を行ったものだと考えられている。
さらに、ヴォルフはハミルトンが今回のことでF1に「幻滅」し、早期に引退することを考えているとほのめかしてさえいる。
こうした報道を受け、フェルスタッペンは次のように語った。
「(アブダビでの)最初の数日以後に起こったことに不満を持つのは理解できるよ」
「だけど、これがレースだし、こういうことが起こることもあるということもわかっているはずだ。以前は彼にもそういうことがあったわけだし、彼もわかっていると思うよ」
おそらくは2008年の最終戦ブラジルGP決勝でほぼタイトル獲得のチャンスを失ったと思われたハミルトンがレース終盤に降り出した雨でほかのドライバーたちが順位を下げるという幸運に恵まれて1ポイント差でフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)をかわして初タイトルを獲得したことに言及しながらそう語ったフェルスタッペンは次のように続けた。
「ルイスは自分が成し遂げたことにだけ目を向けるべきだと思うよ。そのことが彼を慰め、続けるために力づけてくれるはずだよ。だって、彼はまた来年も8度目のタイトルを目指して戦うことができるんだからね」
「だから、彼には今あきらめたり、やめたりする理由は何もないと思うよ」
だが、ヴォルフは、このような形でタイトルを「奪われた」ことは、自分とハミルトンにとってはおそらく決して乗り越えられないことだと主張している。
「間違いなく、ディエゴ・マラドーナの“神の手”や1966年のウェンブリーのゴールに匹敵するものだよ」
サッカーの“疑惑のゴール”になぞらえてドイツの『Bild(ビルト)』にそう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「私の心と魂はいまだに泣いているよ。スポーツの原則が無視され、ストップウォッチに何の価値もなくなったときには、すべての仕事、血、汗、涙に価値があるのかどうか、疑問を持ち始めるものだからね」
ヴォルフはその一方で、レッドブル首脳陣が自分のことを「潔くない敗者」だと非難したことに言及しながら、レッドブルやフェルスタッペンに対して悪感情を抱いているわけではないと主張している。
「こういうことは感情から自然に発生するものなんだ。だが、我々はそれを個人に対するものだとは受け止めていないよ」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「彼らはこの勝利に値するよ」