レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、2021年のF1チャンピオンとなったマックス・フェルスタッペンが将来的にメルセデスへ移籍することはないだろうと考えている。
フェルスタッペンは16日(木)に行われたFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)による表彰式典でチャンピオントロフィーを受け取った。だが、通算8回目のタイトル獲得に失敗したルイス・ハミルトン(メルセデス)の姿はそこにはなかった。
そして、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、表彰式典を欠席したのは、ハミルトンが早期引退を考えているためかもしれないと示唆したことから、多くのメディアがそのことを取り上げるという事態になっている。
実際のところ、現在ハミルトンはメルセデスとの間に2023年までの契約を結んでいる。ハミルトンがその契約を中途解約してF1を去る可能性があるのかどうかは分からないが、2023年には38歳となるハミルトンが現在の契約が満期を迎えた時点でF1を引退することも考えられなくはなさそうだ。
一方、今季のF1チャンピオンとなったフェルスタッペンがレッドブルと結んでいる現在の契約も2023年までとなっている。まだ24歳のフェルスタッペンは少なくともあと10年以上は現役生活を送ることができるだろうし、そのときの状況にもよるだろうが、2024年にはハミルトンの後任としてメルセデスへ移籍する可能性もあると考えている者もいるようだ。
しかし、マルコは『motorsport-total.com』に対し、それはないだろうと次のように語った。
「そのような危険はないよ。あまりにも多くのことがシルバーストンで破壊されてしまったからね:
マルコが言及したのは2021年F1第10戦イギリスGP決勝のことだ。シルバーストン・サーキットの高速コーナーでハミルトンのマシンと接触したフェルスタッペンは高速でタイヤバリアに激突し、病院で一夜を過ごすことになってしまった。
だが、母国レースで優勝を飾ったハミルトンとメルセデスはそんなことはおかまいなしに盛大に勝利を祝っており、フェルスタッペンがこれに激怒したという経緯がある。
そうしたこともあり、マルコはフェルスタッペンが2024年シーズン以降もレッドブルとの契約を更新する可能性が高いと考えているようだ。
マルコは、レッドブルとしてはこれまでに所属したドライバーの中で「最も速く、最も一貫性があり、最も攻撃的」なフェルスタッペンに大満足していると語るとともに、フェルスタッペンは伝説的ドライバーであるアイルトン・セナにも劣らないドライバーだと次のように語っている
「この2人のドライバーは、似たようなメンタリティ、性格、アグレッシブさを持っている。我々はそれにとても満足しているよ」
マルコは今後フェルスタッペンのマネジャーを務めるレイモンド・フェルミューレンと2024年以降の契約更新について話し合いを持つことを認めている。
実際のところ、フェルスタッペンはアブダビGP決勝でトップチェッカーを受けたあと、チームに対して無線で次のように話しかけていた。
「あと10年、15年、一緒にやっていけるかな?」
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、これを受けてFIAの表彰式典が行われたパリで「ここに15年の契約書を持ってきたよ」とジョークを語ると、次のように続けた。
「結局のところ、大切なのは契約ではなく関係なんだ」
「彼が我々のところに来たときには少年だったが、今は青年だ。我々の間には一枚の紙切れよりもいい関係があると思っているよ」