先週末に行われた2021年F1最終戦アブダビGPで優勝し、初のF1チャンピオンに輝いたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、その勝利は「非常に幸運だった」と認めた。
アブダビGP決勝をポールポジションからスタートしたフェルスタッペンだったが、スタート直後に通算8回目のタイトル獲得を目指すハミルトンにオーバーテイクを許すと、その後はどんどん差が開いてしまった。
レース終盤までハミルトンの独走状態が続き、誰もが今年もハミルトンが栄光を手にすると考えていたものの、58周で争われるレースが53周目に入ったところでウィリアムズのニコラス・ラティフィがクラッシュ。
そこでセーフティカーが導入されると、その時点でハミルトンの約12秒後方を走っていたフェルスタッペンがピットインし、一番軟らかいソフトタイヤに交換。しかし、メルセデスはハミルトンをそのままコース上にとどめ、14周目に交換していたハードタイヤで走行を続けることを選択した。
さらに、ラティフィのマシンを撤去する間にセーフティカー先導で周回が進み、このままではレース再開が難しいと判断したマシはいったん周回遅れのマシンにリードラップを走行するマシンを抜かせないことを通達。
しかし、それはルールに定められた手順に違反するのではないかとレッドブルから指摘を受けたこともあってか、マシはその後ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた5台の周回遅れマシンにハミルトンのマシンを追い抜くよう指示。
これにより、ハミルトンのすぐ後ろのポジションについたフェルスタッペンはレースが残り1周で再開されるとソフトタイヤのアドバンテージを生かしてハミルトンをオーバーテイク。まさに奇跡的とも思える大逆転勝利を遂げていた。
「この勝利は非常に幸運だったよ」
イギリスのミルトンキーンズにあるレッドブルのファクトリーでチームと共にタイトル獲得を祝ったフェルスタッペンはそう語ると次のように続けた。
「だけど、僕たちにもシーズンを通して非常にアンラッキーなことが多かったよ。そうでなければ、もっと早くタイトルの行方が決まっていただろうね」
「ルイスにとってはすごく痛手だった。そして、ああいう形で彼が勝利を失ったことについては僕もつらく思っているよ」
一方、メルセデスは、アブダビGP決勝の結果を不服として正式に異議申し立てを行うと示唆していたものの、最近の噂によれば、どうやら敗北を受け入れることになりそうだ。
メルセデスが異議申し立てを行うことができる期限は16日(木)までと定められているが、伝えられるところによれば、メルセデスは企業イメージが悪化することを恐れており、異議申し立てを行うことを断念したものと考えられている。
しかし、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、まだ安心はしていないようだ。
「正式になるまで、それが正式なものだとは思わないよ」
最近の噂に関してそう語ったホーナーは次のように付け加えた。
「だが、誰かがそうでないと言うまでは、マックスが世界チャンピオンだよ」