キミ・ライコネンによる“成功して幸せになる”ための最高のアドバイスは「他人のアドバイスに耳を傾けないこと」だ。
これは、現時点での現役最年長F1ドライバーであり、そのユニークなキャラクターゆえに多くのファンに愛されてきたライコネンらしいアドバイスだと言えるかもしれない。
現在アルファロメオで走っている42歳のフィンランド出身ドライバーであるライコネンは、今週末のF1アブダビGP(12日決勝)で自身のF1キャリアに幕を降ろすことになる。
ライコネンは、通算20シーズンに及ぶ長いF1キャリアの中で耳にした最高のアドバイスはどういうものだったかと尋ねられると、フランスの『AFP通信』に次のように答えた。
「多くの人たちが僕にアドバイスを与えようとしたけれど、僕は耳を傾けなかったよ」
「僕はいつも、人は自分にとって最良の方法で生きようとしなければならないと思っているんだ」
「仕事では、もしもそうすることを選択できるなら、僕は頼まれたことのほとんどをやらないだろうね。だけど、個人的な生活においては自分のためにそれをしなければならない」
「ほかの人が望むことをしようとしても、1年や2年はうまくいくかもしれないけれど、いい結果にはならないものさ。僕は自分のために生きてきてよかったと思っているよ」
「よいことも悪いことも、僕は受け入れることができる。だって、それは自分で決めたことだからね」
2007年にフェラーリでF1チャンピオンになった実績を持つライコネンだが、メディアと向き合う際の彼のユニークなアプローチを見習いたいと思っている人たちに何かアドバイスできることはないかと尋ねられると、微笑みを浮かべながら次のように答えた。
「わからないよ」
「僕の頭の中でひらめくだけだからね。僕はそれをそのまま話しているんだ」
一方、ライコネンはF1引退に向けて何の不安も感じていないという。
「いや、僕はそれを楽しみにしているんだ」
そう主張したライコネンは次のように続けた。
「僕はすでに2年間(2010年と2011年)F1を離れていたことがある。確かに、ラリーには出ていたけれどね。でも、家で普通に過ごすのも好きだし、心配なんかしていないよ」
「F1には多くの時間を費やしてきたけれど、僕にとってF1が一番大切だったことはないよ。僕の人生にはほかにもっと大切なことがあるんだ」
「今は、僕のスケジュールが家族全員に影響を与えている。だから、何も予定がなくなり、家族がやりたいことを何でもできるようになるのを楽しみにしているよ」
ライコネンはさらに、自分がF1をこれほど長く続けてこられたのは、常に「悪い日よりもよい日の方が多かった」からだとしている。
「もし、よいことよりも悪いことの方が多い年が多かったなら、こんなに長くここにはいられなかっただろうね」
「10時間のフライトをするために家を出るのはうれしいことではないよ。それでワクワクしたことなど僕には一度もなかった」
「でも、金曜と土曜、そして日曜に自分がやりにきたことを終えることができればそれでいいんだ。とは言え、僕はそれが終わるのがうれしいよ」
最後に、次はフィンランドのプレジデント(大統領)を目指すことになるのでは? と冗談交じりに質問されたライコネンは次のように答えた。
「F1のプレジデント(最高責任者)よりもフィンランドのプレジデントになる方がいいね」
「F1は政治的過ぎるよ。僕たちがサウジアラビアで何をやったかと言えば、金の話だけさ」