かつてブリヂストンのタイヤエンジニアを務めていたキース・ファン・デ・グリントが、レッドブルは今週末に初開催されるF1サウジアラビアGP(12月5日決勝)に向けてメルセデスがルイス・ハミルトンのマシンに搭載する“ロケット”とも評されるF1エンジンのことを必要以上に心配することはないと語った。
メルセデスではそのエンジンをブラジルで行われた第19戦サンパウロGPでハミルトンのマシンに投入。ハミルトンはそこでレッドブルのマックス・フェルスタッペンに対してストレートスピードで大差を付けていた。
しかし、メルセデスは続く第20戦カタールGPではその新エンジンを温存。ハミルトンは古いエンジンで戦ったものの勝利を飾り、フェルスタッペンとの差を8ポイントに縮めることに成功している。
メルセデスが新エンジンをブラジルで使用しなかったのは、今週末と来週末に2週連続で開催される今季の残り2レースでそのエンジンのパワーを最大限に発揮させるためだと考えられている。
フェラーリでミハエル・シューマッハと一緒に仕事をしていたことで知られるファン・デ・グリントは、母国オランダのテレビ番組『RTL GP』から、残り2戦ではそのエンジンを使用するハミルトンが優位に立つことになるのではないかと質問されると次のように答えた。
「ロケットエンジン? いや、私はそれを心配などしていないよ」
「勝敗を決めるのはパッケージだよ。もちろん、アクセルを踏むその2人を除けばね」
最近の噂では、ホンダのエンジニアたちも特別なチューニングを施した新エンジンをフェルスタッペンのマシンに投入することも検討しているようだと言われている。
もしそうなれば、フェルスタッペンはグリッド降格ペナルティを受けることになる。しかし、そうすれば、長いストレートがあるサウジアラビアのジェッダ市街地サーキットや、最終戦アブダビGPではフェルスタッペンもハミルトンのメルセデスエンジンに匹敵する性能のエンジンを手に入れることができる可能性もあるわけだ。
しかし、ファン・デ・グリントは、レッドブルはそういうリスクを冒さずとも十分にメルセデスと戦えるはずだと考えている。
「私もジェッダのサーキットを見たが、確かに速いだろう。しかし、その一方でいいトラクション(加速力)も必要だ。そして、私はその部分ではレッドブルにアドバンテージがあると見ている」
「私は非常にエキサイティングなレースになると思うよ。エキサイトし過ぎないことを願っているがね」
微笑みを浮かべながらそう語ったファン・デ・グリントは次のように付け加えた。
「メルセデスとレッドブルにはそれぞれ得意としているサーキットがある。我々が驚くようなことになるかもしれないし、彼らのうちどちらかが優勢となるかもしれない。しかし、ドライバーたちはそれぞれ同じように優秀だよ」