NEXT...F1開催スケジュール

ジョビナッツィ、F1は「情け容赦ない」来季はフォーミュラEへ。34億円の中国マネーやアルファロメオF1の“様々な事情”とは?

2021年11月17日(水)22:45 pm

F1を去ることになるアントニオ・ジョビナッツィ(現アルファロメオ)が、F1はお金に関して「情け容赦ない」と言い放った。

●【F1第20戦カタールGP】決勝レースのタイム結果、周回数、獲得ポイント

ジョビナッツィは、アルファロメオF1を運営するザウバーから2022年の契約を打ち切られた。代わりに、スイス拠点の小規模チームであるザウバーが選んだのは、より資金力のある中国のルーキー、チョウ・グアンユーだった。

しかし、27歳になるイタリア人ドライバーのジョビナッツィも、F1シートを得たのはフェラーリの支援によるものだった。当時ジョビナッツィがシートを得たことで、シートを失ったドライバーがいたことも事実だ。

■シートを獲得できなかったドライバーたち、2022年は?

アルファロメオのシートを狙っていたカラム・アイロットとオスカー・ピアストリは、2022年に向けて別の計画を立てている。

2020年のF2選手権2位を獲得し、フェラーリの支援を受けているイギリス人ドライバーのアイロットは、今季のようにフェラーリとアルファロメオのリザーブドライバーに留まるのではなく、来年からインディカーに参戦すると発表。アイロットは「もう1年、他の人がドライブするのを見ていても仕方がないよ」と言う。

現在F2選手権ランキング1位で、アルピーヌの育成ドライバーであるオーストラリア人のピアストリは、2022年はアルピーヌF1のリザーブドライバーとなる。

■ジョビナッツィはフォーミュラEへ

シートを失ったジョビナッツィはといえば、2022年はペンスキーと契約してフォーミュラEで活動することを発表した。

「F1は感情、才能、リスク、そしてスピードだ。だけど、お金がルールを決めた時、情け容赦ない」と、ジョビナッツィはソーシャルメディアにイタリア語で書き込んだ。

■チョウ・グアンユーには34億円の中国マネー

シートを勝ち取ったF2選手権ランキング2位につけている22歳のチョウ・グアンユーは、3,000万ドル(約34億円)もの中国スポンサーに支えられていると言われている。なお、今回の契約にあたりアルピーヌの育成プログラムからは抜けたようだ。

■アルファロメオF1側の事情

アルファロメオF1としては、F2選手権チャンピオンに最も近いピアストリとの契約を検討するにあたり、ネックになっていたのはやはりスポンサーマネーのようだ。

アルファロメオF1のボスであるフレデリック・ヴァスールは、F2選手権ランキング1位のピアストリではなく同2位のチョウ・グアンユーを選んだことについて次のように語った。

「彼(ピアストリ)とはおそらく1年しか一緒にいられなかっただろう。しかし、私は将来に向けてのフリーハンド(自由裁量)が欲しかったんだ」

「もし、2023年まで延長する可能性がなく、1年だけのプロジェクトだとすれば、何の意味もないだろう」

また、フレデリック・ヴァスールは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。「中国というまったく新しい市場を開拓することは、チームにとっても、会社にとっても、スポンサーにとっても、そしてF1全体にとっても大きなチャンスだ」

■フリーハンドとは、金額、エンジン、スポンサー、チーム売却

ヴァスールが言う「将来に向けてのフリーハンド」とは何だろうか?おそらく金額、エンジン、スポンサー、チーム売却だと思われる。現在ザウバーのオーナーはイスレロ・インベストメンツという投資会社であり、チームの価値が上がるような計画を考えていることだろう。

金額については、フェラーリからの支援よりもチョウ・グアンユーが持ち込む中国のスポンサーマネーの方が短期的な収入と将来の可能性が広がると判断したのだろう。また、中国人F1ドライバーを起用することで中国でのチームの注目度も高まり、スポンサーが増える可能性は無限大だ。

エンジンについては、フェラーリ育成ドライバーを外すことで、苦戦の一因になっているフェラーリPU以外を選択できるため、チームの競争力を上げることができる。場合によってはフェラーリ、メルセデス、ルノー、そしてレッドブル(現ホンダ)から購入したエンジンにネーミングライツとして中国自動車メーカーのバッジをつけることも可能になるだろう。

そして、フェラーリの縛りを無くすことで、オーナーとしては将来的にチームの売却もしやすくなる。特に、レギュレーションが変更となる2026年からF1への新規参入を検討しているポルシェやアウディにとっては買いやすくなる。

■ジョビナッツィにはもっと良い結果を期待していた

そしてジョビナッツィがF1のシートを失った理由については「間違いなく彼のせいではない」と主張し、今年で3年目のシーズンを戦っているジョビナッツィをこう評価した。

「彼とのコラボレーションの始まりは少し難しかったが、我々はこれまでのシーズン、彼をチームに留めてきたが、最終的には彼のパフォーマンスレベルは良好だった」

「我々が選んだのは、さまざまな要因が重なった結果であり、彼(ジョビナッツィ)だけの問題ではないんだ」

「我々はもっと良いものを期待していたかもしない。しかしそれは、チームにとっても、ドライバーにとっても、その他のすべての人にとっても言えることだよ」

現在ランキング9位と苦戦しているアルファロメオF1だが、来季はベテランのバルテリ・ボッタスと新人チョウ・グアンユーというラインナップで、長期的に期待できる中国のスポンサーマネーにより開発を進めながら中団争いの上位進出を狙う。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック