トヨタなどで活躍した元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、2021年のF1世界選手権をめぐるメルセデス対レッドブルの壮絶な戦いが、コース外バトルにまで波及していることを「残念だ」と語っている。
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■メルセデス、「新しい証拠」で再審議を請求
ブラジルのターン4でマックス・フェルスタッペンがルイス・ハミルトンを巻き込んで物議を醸した走行について、王者メルセデスはFIAに「審査権」を申し立てたことを発表した。
声明には、これまで「スチュワードが決定した時点では入手できなかった」という「新しい証拠」が明らかになったと書かれている。
■FIA「決定的な証拠」になるかも
実際、メルセデスのトト・ヴォルフは、F1レースディレクターのマイケル・マシに対して、レッドブルのフェルスタッペンが彼自身とハミルトンを接触させずにコースアウトさせたことに対してペナルティを科さないというスチュワードの決定を「恥ずかしい」と非難していた。
マシは、今は公開されているフェルスタッペンのマシン前方に設置されたオンボードカメラの証拠を認め、そうした見直しのきっかけとなる「決定的な証拠」になるかもしれないと認めた。
■ラルフ・シューマッハ「理解できるが残念なこと」
ラルフ・シューマッハは、過去にさかのぼってのペナルティがチャンピオンシップの結果に影響するかもしれないという重要性を考慮すると、メルセデスが審議を要求したことは「ある程度理解できる」と理解を示しつつ、「しかし、このような事態になっているのは残念なことだ」と述べている。
また、フェルスタッペンの防御的なドライビングに失望する声もあった。というのも、ターン4は左カーブとなっており、ハミルトンを押し出すために右にステアリングを切ったわけではないかもしれないが、実際のエイペックス(コーナーの頂点)ではなく、エイペックスを別のところにして大回りをした可能性も確かにある。つまり、イン側でハミルトンをブロックしようとしたフェルスタッペンは、ブレーキを遅らせてターン4へ入っていったため、進入速度と角度が厳しくなり、外に膨らまなければならなかったということだ。
■フェリペ・マッサ「フェルスタッペンはクリーンだった」
ブラジル人のフェリペ・マッサは、フェルスタッペンに対してペナルティを課すべきだったかどうかという質問に対して、「ノー」と答えた。
「彼(フェルスタッペン)はクリーンな仕事をしていたから、スチュワードの意見に同意するよ。彼はハミルトンを押し出すような暴力的な操作をしたわけではなく、肩を少し開いただけだった」
「そして、これこそが我々が見たいものだ。違うかい?」と、マッサはイタリアの『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙に語っている。
■ヴォルフ「受け入れられない」
しかし、オーストリア人のトト・ヴォルフは『スカイ・ドイツ』に対して「この件は数日中にFIAによって処理されるだろう」と語った。
「我々は、このまま放置することはできない。 受け入れられない決定が下されたのだから」と不満を述べている。