レッドブルの首脳陣は、F1サンパウロGPでタイトル争いのライバルであるルイス・ハミルトン(メルセデス)のストレートスピードが突然信じられないほどに向上したことに驚きを隠していない。
●【F1第19戦サンパウロGP】決勝レースのタイム結果、周回数、獲得ポイント
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、サンパウロGPの舞台となったインテルラゴス・サーキットでハミルトンが見せた驚異的な速さについて次のように語った。
「あのスピードがどこから来るのか、調査する必要がある」
「普通に起きることではないし、調べる必要があるよ。だが、抗議するにはまだ早いよ」
ハミルトンは決勝を10番グリッドからスタートしたものの、その速さを生かして見事に今季6勝目をあげ、ランキングトップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とのギャップも14ポイントに縮めることに成功している。
実際に抗議に出ることも検討しているのかと質問されたレッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は次のように続けた。
「それは最後の手段だ」
「まずはルールに則った変更ではないと考えられるパーツを特定したいと思う。だが、(抗議を)進めることができるようにするための十分な証拠はつかめていない」
マルコは、メルセデスは今季終盤のレースに向けてハミルトンのために「ロケット」のような新エンジンを製造することに成功したわけだが、メルセデスがどのようにしてそんなエンジンを造ることができたのかは「我々からすればミステリーだ」と語り、次のように続けた。
「我々の場合は、新しいエンジンでもたらされるのは3キロワットから5キロワットだ。ハミルトンの新エンジンはゆうに15(キロワット)はもたらしているよ」
「メルセデスは、彼らのエンジンの摩耗が異常なまでに多いと言っているが、それは我々を助けることにはならないよ。それまでにはこの選手権は終わってしまうだろうからね」
「今、我々はどのようにすべてが機能しているのかを理解しようとしているところだ」
マルコは、ハミルトンが乗るメルセデスF1マシンの速さの秘密のひとつはリアウイングが違法にたわむ性質を持っていることではないかと疑っており、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がそれに関する新たな技術指令を出すことを望んでいると示唆している。
だが、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、FIAにウイングを分解してみてもらってもかまわないが、それでも違法な部分は何ひとつ見つからないだろうと主張している。
だが、マルコは次のように付け加えた。
「ひとつの指示はシーズンがスタートするときにメルセデスの要請を受けて出されていたようだ。だから、我々も新たな指示を出現させるよう影響を与えることもできるだろう」