「F1ベルギーGPから学んで先へ進む必要がある」とメルセデスのボス
2021年のF1タイトルを争うメルセデスとレッドブルのチーム首脳たちは、第12戦ベルギーGP決勝が予期せぬ終わり方となったことに関して冷静に受け止めているようだ。
雨に見舞われたスパ・フランコルシャン・サーキットで行われたベルギーGP決勝は、長時間にわたってレースが中断されたあげく、最終的にはセーフティカーの後ろで2周しただけで終わってしまった。
しかし、ルール上はそれでレースが成立したことになり、スターティンググリッド順に上位10人のドライバーに通常の半分のポイントが付与されている。
だが、こうした成り行きに不満を感じているドライバーも少なくない。今季3年ぶりにF1復帰した40歳のベテランドライバーであるフェルナンド・アロンソ（アルピーヌ）もその1人だ。
「レースがなかったのに、なぜポイントが与えられるんだい？」
予選14番手で、当日は12番グリッドからのスタートだったアロンソはそう語ると次のように付け加えた。
「セーフティカーの後ろではポイント争いはできなかったよ」
アロンソのチームメートであるエステバン・オコンも同意見だ。
「視界ゼロの状態でレースをしないというFIA（国際自動車連盟）の判断は正しかったと思う。僕たちは安全な選択をしたけれど、事故が起きる可能性もあったからね」
「すべてのドライバーがそれに同意しているよ。だけど、ポイントの配分については、フェルナンドは間違っていないよ」
最終的に7位となり、3ポイントを獲得したオコンはベルギーのテレビ局『RTBF』にそう語ると次のように付け加えた。
「予選で仕事をしたドライバーたちにとってはよかったけれど、僕たちはライバルに負けてしまった。本当のレースが行われていれば僕たちは2台ともポイントを獲得できたはずだよ」
現在2021年のF1タイトル争いをリードしているルイス・ハミルトン（メルセデス）だが、ベルギーではライバルのマックス・フェルスタッペンが優勝し、自分が3位に終わったことでリードがわずか3ポイントに縮まってしまった。
ハミルトンは、実際のところセーフティカー先導で周回が開始されたとき、すでにF1はもうレースがスタートできないことが分かっていたのだと非難している。
「最後に僕たちを送り出したときに、サーキットがこれ以上よくならないことを彼らは知っていたんだ」
「彼らは、僕たちをセーフティカーの後ろで2周させるためにそうしたんだ。それがレース成立のための最低必要条件あったからさ」
しかし、F1レースディレクターであるマイケル・マシはこうした非難は的を射ていないと反論している。
オーストラリア出身のマシは、今年のベルギーGPはこれまでのグランプリでは見たことがなかったほどの悪条件に見舞われたのだと次のように語った。
「我々は国際競技規約を使って、レースの時間枠を延長することさえ試みたんだ。我々はあらゆる手を尽くした。しかし、運が悪かったとしか言いようがないよ」
一方、興味深いことに、今季のタイトル争いを演じているメルセデスとレッドブルは、この問題に関してはかなり落ち着いた反応を示している。
「今日はポイントを失ったが、それがルールであり、これに関してできることは何もないよ」
メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ（チーム代表）はそう語ると次のように続けた。
「我々には腹を立てるだけの理由がある。しかし、今はすべてを冷静に受け止め、前に進まなければならないんだ」
「ファンの忍耐に敬意を示さなくてはならない。レースをスタートしなかったことは正しかったが、おそらくセーフティカーの後ろでの手順は避けられただろう」
「結局のところ、これは異常だったんだ。このようなことは見たことがなかったよ。ここから何かを学ぶ必要がある」
また、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ（モータースポーツアドバイザー）もテレビ局『Sky Deutschland（スカイ・ドイチュランド）』に対し、スパ・フランコルシャンでは関係者全員が「ベストを尽くした」と語り、次のように続けている。
「我々はこの勝利を誇りに思ってはいないよ」
「レース主催者と幹部は、たとえわずかな時間であれ、全員がコースに出られるように最善を尽くした。そして、妥協点として必要な周回数を稼ぐことができたんだ」
「だが、見ている者たちに対して、あまりにも長く何も知らされなかったのはいいことではなかった。レースが始まるのかどうかが非常に不透明だったからね。楽しい日ではなかったよ」
そう語った78歳のマルコは次のように付け加えている。
「将来に向けて、よりよい解決策を見つける必要があるよ。非常にコンディションが悪い場合には、最初からレース開始を3時間もしくは4時間延期することもできるだろう」
