元F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2021年のF1タイトルを獲得する方に金を賭けると語った。
一時はライバルである現F1チャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)を大きくリードしていたフェルスタッペンだが、第10戦イギリスGP決勝ではハミルトンとからんでクラッシュしノーポイント、続く第11戦ハンガリーGPでもスタート直後にバルテリ・ボッタス(メルセデス)が起こした多重クラッシュに巻き込まれ、ダメージを負ったマシンで9位フィニッシュするのがやっとという展開となってしまった。
ハミルトンはその2レースでも着実にポイントを重ね、逆にフェルスタッペンに対して8ポイントのリードを築いて夏休みを迎えている。
一時はメルセデスをしのぐパフォーマンスを見せていたレッドブル・ホンダだが、ここ数レースではメルセデスが強さを取り戻してきており、シーズン後半もこのままメルセデスが突っ走るのではないかと考えている者も少なくないようだ。
だが、エクレストンはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「私はマックスに賭けるよ」
「彼はいい仕事をしているし、現時点では彼の方がいいマシンを持っているように見えるからね」
しかし、エクレストンもシーズン後半はハミルトンとフェルスタッペンが接戦を繰り広げることになるのは確かだと考えている。
「マックスはルイスが勝てないレースに勝つだろうし、その逆もまた然りだよ。最終的には、ミスの数で決まることになるかもしれないね」
「ルイスの方が経験では上だし、状況も把握している。だから、マックスにとっての最大のリスクはさらにミスを犯して自滅してしまうことだ」
エクレストンは、フェルスタッペンがイギリスGPの舞台となったシルバーストン・サーキットの有名な高速コーナーであるコプスでハミルトンと果敢にバトルを展開した結果、両者が接触してしまったことに言及しながら、あれはフェルスタッペンが犯した小さなミスだったのだと付け加えている。
あのとき、フェルスタッペンはハミルトンに先行させるべきだったと思うかと尋ねられたエクレストンは次のように答えている。
「理論的にはイエスだが、実際にそうするのはかなり難しいだろうね」
「もしもルイスが前に出ていたら、マックスはその後苦戦を強いられていただろう。ストレートではメルセデスの方が速かったからね」
エクレストンはさらに、そのイギリスGPのあとでレッドブルがハミルトンに対してレース中に科されたペナルティが不当だとして異議申し立てをしたことは問題ないものの、そのやり方がやはり少し間違っていたのだと考えているようだ。
「私でも異議申し立てをしただろうが、あれがルイスの責任だったかどうか、マックスがいなければコーナーを曲がれていたかどうか、というような議論はしなかっただろう」
「競技委員はすでにハミルトンに責任があったと認めていたわけだから、そんなことはまったく重要ではなかったんだ。それが質問の答えだよ」
90歳のエクレストンはそう語ると次のように付け加えた。
「レッドブルはペナルティだけに焦点を合わせて、より厳しいペナルティを要求するべきだったんだ」
イギリスGPのレース競技委員はハミルトンに10秒のタイムペナルティを科していたが、エクレストンは自分なら20秒のペナルティが妥当だったとして争っただろうと示唆している。
レース中に科された10秒ペナルティをクリアしてイギリスGPで優勝を遂げていたハミルトンだが、エクレストンが言うように、仮にレース後に20秒ペナルティに修正されていたとすれば、レース結果にさらに10秒が加算され、ハミルトンは優勝ではなく2位となっていたはずだ。そうなっていれば、現時点でのハミルトンとフェルスタッペンとの差はわずか1ポイントになっていたかもしれない。