元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが、今年のF1タイトル争いが最終戦アブダビGPまでもつれこんでも驚きはしないだろうと語った。
かつてフェラーリやマクラーレンで活躍し、現在はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の最高責任者を務めているオーストリア出身のベルガーだが、F1引退後にはトロロッソ(現アルファタウリ)の共同オーナーを務めていたこともあり、今でもレッドブルとは太いパイプを持っている。
そのベルガーは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が夏休み前最後のレースであった第11戦ハンガリーGPで逆転するまでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2021年のタイトルを獲得するだろうと考えていたようだ。
「少し前であれば、マックスが今年はやってのけると言っていただろうね」
レッドブルがオーナーとなっているドイツの『Speed Week(スピードウィーク)』にそう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「しかし、F1の戦いを過小評価したり、何かを確実だと考えたりするようなことは決してするべきではないよ。マックスは余裕を持ってスパ(第12戦ベルギーGP)に臨むはずだったが、メルセデスとハミルトンが状況を変えてしまった」
マクラーレン時代には伝説的ドライバーであるアイルトン・セナのチームメートとしても活躍したことで知られる61歳のベルガーは、今年のハミルトンとフェルスタッペンの戦いはF1史上最も注目すべきものの一つだと考えているようだ。
「私はF1で多くの戦いを見てきた。だが、この対決はユニークだよ」
そう語ったベルガーは、トト・ヴォルフ(メルセデス/チーム代表)とヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)の名前などもあげながら次のように続けた。
「2人のトップドライバーがいて、その背後には天才技術者がいる。そしてヴォルフとマルコもいるんだ」
「彼らは皆、信じられないようなスペクタクルを約束する比類なきプロフェッショナルだ。アブダビ(最終戦)までタイトルが決まらなくても私は驚かないだろうね」
しかし、レッドブルとメルセデスが2021年のタイトル争いに必死になればなるほど、これまでとは大きく異なる新技術レギュレーションが導入される2022年に向けた準備に割く時間やリソースが限られてくることになり、その結果2022年以降はかなり厳しい状況に置かれることになってしまうのではないかと考えている者もいるようだ。
しかし、ベルガーはこの2チームに関してはそういう心配は無用だろうと考えている。
「この戦いには、それに関わる者たちに大きなエネルギーを使わせることになるだろう。だが、それが新車の開発に不利になるとは思わないよ」
そう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「彼らのスタッフをもってすれば、それにも対処できるよ」