何人かのF1関係者やF1評論家は、キミ・ライコネン(アルファロメオ)にはそろそろヘルメットを脱ぐときが来たと考えているようだ。
最近、今年ハースからF1デビューしたミック・シューマッハが2022年にはアルファロメオに移籍するのではないかとの噂がささやかれるようになっている。
実際のところ、ミックは今季ハースに所属しているものの、フェラーリの契約下にあるドライバーであり、ハースに留まるのかアルファロメオに移籍するのかを決めるのはフェラーリだということになる。
そして、もしもミックが2022年にアルファロメオに移籍することになれば、その代わりにシートを失うのはやはりフェラーリとの契約下にあるアントニオ・ジョビナッツィではなく、今年の10月には42歳の誕生日を迎える現役最年長F1ドライバーのライコネンになるだろうと考えられている。
2007年にフェラーリでF1チャンピオンになった実績を持つフィンランド出身のライコネンだが、最近ではジョビナッツィに予選で負けることが多くなっており、やはり年齢的にそろそろF1で戦うのは難しくなってきているのではないかとの声もある。
しかも、ライコネンは先週末にレッドブルリンクで行われた今季の第9戦オーストリアGPではレース終盤にかつてのチームメートであり、友人でもあるセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)とクラッシュを演じてしまった。
このクラッシュはライコネンの方に責任があったとし、レース後に20秒加算ペナルティが科されている。
ベッテルはこのクラッシュについて次のように語った。
「意図的なものでなかったのは確かだけど、少し奇妙な感じがしたよ。彼は僕を見ていなかったんじゃないかな」
「誤解があったんだろうと僕は思っている。だからもう一度見直して、彼と話をしてみるよ」
しかし、ライコネンは次のように語っている。
「僕は彼のことを見ていたよ。だけど、なぜ接触したのかは分からないんだ。僕が動いたのか、彼が動いたのかは分からない。映像を見てみないとね」
ともあれ、今季ここまで予選で1度しかジョビナッツィを上回ったことがなく、しかもオーストリアGP決勝でのような不可解なクラッシュを起こしたということもあり、ライコネンのF1キャリアも終わりを迎えるのが近いと考えている者も少なくないようだ。
「あれはキミが完全に無茶をしたんだ」
ベッテルとのクラッシュについて母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語った元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「彼はほかのクルマに向かってまっすぐ走らせていた。彼がしたことは恥ずべきことだよ」
かつてマクラーレンでライコネンのチームメートだったこともある元F1ドライバーのデビッド・クルサードも、ライコネンも年齢には勝てないのだとドイツの『Bild(ビルト)』に次のように語っている。
「僕が(F1を)やめたのは37歳のときだった」
「自分では認めたくはないけれど、突然ミスを犯すようになるんだ。だけど、それは自分なんだ」
「僕は、それは特にレース終盤の集中力の低下に関係していることに気付いたんだ。最後の年のミハエル・シューマッハにも同じことが見られたよ」
メルセデスのチーム代表を務める49歳のトト・ヴォルフも年齢的な衰えは誰にでもあることだと次のように語っている。
「アウトバーンで長い旅をした後には、時々自分がかなり壊れていると感じることがあるよ」
「同じような時点で、年齢的なことが目立つようになってしまうのかもしれないね」
一方、フェラーリはミックではなく、現在フェラーリのテストドライバーを務めているカラム・アイロットをライコネンの後任としてアルファロメオでF1デビューさせたいと考えているようだとの噂もある。
アイロットは2020年にF2選手権でランキング2位となったドライバーだ。先週末のF1オーストリアGPでは金曜フリー走行1回目をジョビナッツィに代わって担当し16番手タイムを刻んで見せている。
しかし、その一方でアルファロメオがザウバーとの契約を今シーズン限りで打ち切る可能性もあると考えられている。
そうなった場合、現在のアルファロメオは2022年からはまたザウバーとしてF1活動を継続することになるわけだが、そのときはザウバーがフェラーリとの技術提携契約を解除し、2022年からルノーエンジンに乗り換えるのではないかとの噂もある。
そして、もしそうなった場合には、チーム代表を務めているフレデリック・バスールは、ザウバーの育成ドライバーであるテオ・プルシェールをF1に引き上げようとするだろうとも言われている。
現在17歳のプルシェールは今年はF2で2年目のシーズンを迎えており、現時点ではランキング6番手に位置している。