レッドブル首脳のヘルムート・マルコは、現チャンピオンチームであるメルセデスにさらなる打撃を与えるために、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に対して現在メルセデスが使用しているフロントウイングの使用を禁じるよう求めていることを認めた。
少し前にはメルセデスがレッドブル・ホンダのリアウイングが高速走行時に大きく変形していると指摘し、FIAでは前戦フランスGPからより厳しい検査基準を導入している。
しかし、メルセデスでは第6戦アゼルバイジャンGPが開催されたバクーにおいてレッドブル・ホンダのリアウイングに対して正式に異議申し立てを行う可能性もあると示唆していた。
結局、メルセデスが正式にFIAに訴え出ることはなかったものの、最近では逆にレッドブル側がメルセデスのフロントウイングに対して同様に疑念を表明しており、FIAに対して監視を強めるよう圧力をかけてきている。
この件に関して、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は『f1-insider.com』に次のように語った。
「もしもほかのチームがレギュレーションの範囲を超えており、グレーゾーンがもはやレッドゾーンに入っているという意見を持っているのであれば、そのことをFIAに知らせて明確にしてもらう必要があるんだ」
「それは完全に正常な手続きだよ。もし明確にさえなれば、それで我々は満足するだろう」
2021年シーズン序盤はややメルセデス優位の展開となっていた。だが、レッドブル・ホンダは第5戦モナコGPでメルセデスが失速したことに乗じてランキングトップに立つと、第6戦アゼルバイジャンGP、そして先週末に行われた第7戦フランスGPでも勝利し、その差を広げることに成功している。
そして今週末から地元レッドブルリンクでの2連戦を迎えることもあり、レッドブルとしてはここでメルセデスを突き放しにかかりたいところだ。
もし、FIAがメルセデスのフロントウイングに問題があると判断すれば、それがレッドブル・ホンダにとっての追い風となることも十分に考えられるだろう。
レッドブル・ホンダに3連勝を許してタイトル争いで一歩後退してしまったメルセデスだが、同チームのリザーブドライバーを務めるストフェル・バンドーンはメルセデスがそれによってパニックに陥っているようなことはないと主張している。
だが、そのバンドーンも、フランスGPが行われたポール・リカール・サーキットでのチームの雰囲気はいつもに比べると「変だった」と認めている。