レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、2021年のF1タイトルを争っているメルセデスに対して対抗措置をとる可能性を否定しなかった。
最近、レッドブルを含むいくつかのチームが基準以上にたわむウイングを使用している可能性が指摘されており、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は今後その監視を強めるとともに、新たな検査基準を導入する予定となっている。
だが、当初6月からその新基準を適用するとしていたFIAだが、実際には来週末にバクーで開催される第6戦アゼルバイジャンGPまでは現在のウイングの使用を認める方向で調整が進められている。
メルセデスF1チームの代表を務めるトト・ヴォルフは、そのFIAの姿勢は理不尽だと批判しており、実際にバクーでレッドブルが高速走行時におおきく変形する現在のリアウイングをそのまま使用した場合には正式に異議を申し立てることになるだろうと警鐘を鳴らしている。
しかし、マルコはヴォルフの姿勢はフェアではないと反論している。
「我々はウイングを替えることになる。だが、バクーまでに行うことは可能ではない」
ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』にそう語ったマルコは次のように続けた。
「新しいものをそれほど早く造ることはできないよ」
「ほかのチームが我々のクルマを観察するのはF1では普通のことだ」
「我々も昨年メルセデスがDASシステムを付けてピットから出てきたときにはそうしたよ。FIAはそれを非合法だとしたものの、彼らは最終レースまでそれを使用することが許されたんだ」
「我々はそれを受け入れた。それなのにメルセデスはどうして同じような状況にある我々のリアウイングに関しては受け入れないと言うんだ?」
マルコは、もしヴォルフが正式に異議申し立てを行うようなことがあればレッドブルもそれに対して対抗措置を講じることになるだろうと次のように続けている。
「フロントウイングのテストも同じように強化されるだろうと考えている。それが公平だからね。トトのクルマのフロントウイングはその点に関して最も明白だからね」
「だから、我々も異議を申し立てる可能性があるよ」
とは言え、マルコはヴォルフが実際にバクーで異議申し立てを行うことはないだろうと考えているようだ。
「フェラーリ、アルファロメオ、アルピーヌも影響を受けることになるから、彼らは8台に対して異議申し立てを行う必要があるだろう」
マルコはそう語ると、次のように付け加えた。
「彼らは本当にそうすることで大きなスキャンダルを起こしたいと思っているのだろうか? 私はそうは思わないよ」