F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が来月から“フレキシブルウイング”と呼ばれる過度にたわむウイングの取り締まりを強化することになったが、レッドブルはいまのところ「冷静」を保っているようだ。
このほどFIAがリアウイングの監視を強化することにしたのはレッドブルの2021年型マシンに限ったことだと考えている者が多い。
これは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がF1スペインGPが開催されたバルセロナにおいてレッドブルのリアウイングが「曲がりやすい」性質を持っていることに気づいたと発言したためだ。
ハミルトンはタイヤ戦略をうまく生かしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を終盤に逆転したものの、レースの大半でフェルスタッペンの背中を見ながらの走行が続いていた。
現在のF1技術ルールでは、基準値以上に変形する空力パーツをマシンに装着することが禁止されているが、ハミルトンはフェルスタッペンの駆るレッドブルF1マシンのリアウイングは禁止されている「フレキシブルウイング」ではないかと示唆したわけだ。
だが、レッドブル首脳のヘルムート・マルコは『f1-insider.com』に対し、これはメルセデスによる心理戦の一部であり、実際のところハミルトンにそういう発言をさせたのはトト・ヴォルフ(メルセデス/チーム代表)だと思っていると次のように語っている。
「トト・ヴォルフがルイスにそう言えと言ったんだよ」
「我々は冷静だよ。これまでに行われたすべてのテストで合格しているし、今後のものについても同じように続けるだけさ」
「今回のことは単にメルセデスが我々のことをどれほど重大に受け止めているのかを示しているだけだよ」
こうした中、ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』のラルフ・バッハ特派員は、実際のところFIAが特に狙いを定めているのはレッドブルではなく、スペインGPで大きな躍進を見せたアルピーヌの方だろうと次のようにコメントしている。
「メルセデスにとっては残念だろうが、FIA関係者が目を付けているのはフェルスタッペンのチームではなく、アルピーヌの方だろう。元ルノーのワークスチームは柔軟性に関しては最も優れた名人だと言われているからね」