セバスチャン・ベッテルが、アストンマーティンが2021年のF1コンストラクターズ選手権で3位に入るという目標を達成するのは無理だと認めた。
レーシングポイントと呼ばれていた2020年には“ピンクのメルセデス”とも揶揄されるほどのパフォーマンスを見せ、最終的にはコンストラクターズランキング4位で終えていたチームだが、アストンマーティンとチーム名が変わった今年はここまでのところまだ5ポイントしか獲得することができていない。
しかも、大きな期待とともにアストンマーティンに迎え入れられたベッテルは過去4度F1王者となった実績を持つにもかかわらず、いまだにノーポイントだ。
しかし、スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールは、そのうちアストンマーティンが力を発揮するようになるだろうと考えている。
「彼らはこの状態から抜け出すだろう」
1980年代にアロウズやブラバムで活躍したスレールはドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』にそう語ると次のように続けた。
「未来は明るいよ。彼らは金を注ぎ込み、新たな人材も雇っている」
「あのチームのレベルは間違いなく上がるよ」
しかし、現時点においてはアストンマーティンが非常に苦戦しているのは事実だ。
「問題は、チームの歴史だよ」とスレール。
「彼らは平凡なマシンしか造っていなかったが、昨年は突然トップレベルのマシンを手にした」
「しかし、それは完全にメルセデスのコピーだった。そして今の彼らは独力で開発しなくてはならず、マシンを悪くしてしまっているんだ」
アストンマーティンは、2021年シーズンに向けて行われた空力ルール修正がメルセデスのマシンをベースとした自分たちのマシンに不当なペナルティを与えていると訴えてきた。だがもちろん、その訴えが聞き入れられることはなかった。
「昨年はメルセデスが大きくリードしていたけれど、今はみんなが気にしないほど接近してきているからね」
そう語った33歳のベッテルだが、今シーズンは最終的にアストンマーティンがどういう位置につけられるかは分からないと認めている。
「目標を設定するのは難しいよ。そして、僕たちが前進を果たすのも難しいんだ。でも、そのためにまだあと2、3レースは残っているけれどね」
アストンマーティンも近いうちに2021年型マシンの開発よりも全く新たな技術ルールが導入される2022年シーズンに向けた新車開発に焦点を合わせていくことになると示唆したベッテルは次のように付け加えた。
「だけど、3位には手が届かないよ」