アルピーヌF1チームのエグゼクティブディレクターを務めるマルチン・ブドコヴスキーが、今年2年間のブランクを経てF1復帰したフェルナンド・アロンソがこれほど苦しむことになるとは思っていなかったと認めた。
ルノーで2005年と2006年に2年連続でF1チャンピオンとなったアロンソだが、今年3年ぶりに古巣チームでF1復帰したものの、ここまでの4レースでは予想以上の苦戦を強いられている。
復帰第1戦となった開幕戦バーレーンGP予選では幸先よくチームメートのエステバン・オコンを上回ってQ3に進出してみせたアロンソだったが、第2戦以降は予選・決勝ともにすべてオコンに敗れている。
昨年新型コロナウイルスによる大きな影響を受けたF1だが、2021年のプレシーズンテストもわずか3日間の日程しか組まれなかった。こうしたことにより、今年F1チームを移籍したドライバーたちは新たなチームのマシンになかなか慣れることができず、苦しいシーズンのスタートとなっているのは確かだ。
スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールはドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「シーズンが始まるとき、私はセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が適応するには3レースか4レースが必要だろうと言ったんだ」
「リカルド(マクラーレン)に関しては、今ではかなり改善し始めているのが分かる。だが、ベッテルはあまりうまくいっていないし、ほかのドライバーたちにも同じことが言えるよ。ペレス(レッドブル)も苦しんでいるし、サインツ(フェラーリ)もチームメートについていくことができていない」
シーズン前のテスト不足と現在のF1マシンの複雑さがこうした状況を生む原因となっていると語ったスレールだが、それでも「これほど時間がかかるとは思っていなかった」と付け加えている。
かつてF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の技術部門に所属していたブドコヴスキーも同じような印象を抱いているようだ。
「今日では新しいチームに慣れるのは難しいんだ」
スペインの『AS』にそう語ったブドコヴスキーは次のように続けた。
「フェルナンドはものすごく才能がある。だが、F1はほかのレースカテゴリーとはレベルが違うし、単に運転するだけではないことを忘れるわけにはいかないよ」
「ここではマシンの能力を100パーセント引き出す必要があるんだ」
アロンソが完全にアルピーヌの2021年型マシンに順応できるようになるにはあとどれくらいかかりそうかと尋ねられたブドコヴスキーは次のように答えている。
「分からないよ」
「だが、彼はまだ自分がフェルナンド・アロンソだということを知っているよ。一夜にして遅いドライバーになることなどないよ」
「彼は謙虚で落ち着いた取り組み方をしているし、難しいことではないだろう」
「現実的に、フェルナンドは何も過小評価していなかったと私は考えている」
ポーランド出身のブドコヴスキーはそう語ると次のように付け加えた。
「その一方で、私もこれほど難しいとは思っていなかったよ」