レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、これまでとは全く違う新たな技術ルールが導入される2022年シーズンに向けた準備をする必要があるのは確かだが、それでも、自分たちは2021年型マシン開発を放棄することはないと語った。
今シーズンにおいて優勝争いに加わる望みがないほとんどのチームはすでに2021年シーズンに向けた新型マシンの開発にリソースの大半を費やしている状況だ。
しかしマルコは、レッドブルは少なくとも夏休みまでは現在のマシンをペースアップさせるための開発を継続するつもりだと次のように語った。
「その後、世界選手権の順位次第では別の見方をすることになるだろう」
F1関係者の中には、そうしたレッドブルのスタンスは、2022年型マシンの開発に一定の妥協を強いることになる可能性もあると考えている者もいるようだ。2022年型マシンは新たな技術レギュレーションのもとで戦うことになる最初のマシンであり、その善し悪しがその後のシーズンにも影響を及ぼす可能性があるだけに、長い目で見れば早めに2022年型マシン開発にシフトすべきだというのがそういう者たちの意見だ。
しかし、マルコはマックス・フェルスタッペンが2021年のF1タイトルをとるチャンスがあるだけに、そちらについても妥協するわけにはいかないと次のように主張している。
「初めてF1チャンピオンになるチャンスがあるマシンを手に入れたマックスに対してそんなことはできないよ」
先週末にポルティマオで行われた今季のF1第3戦ポルトガルGPではメルセデスのバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得し、ルイス・ハミルトンが優勝を遂げている。だが、このレースにおいても王者メルセデスとレッドブル・ホンダのパフォーマンスが拮抗していることは明らかだった。
「厳しいタイトル争いになっている」
そう語ったマルコは今週末にバルセロナ行われる第4戦スペインGP(9日決勝)に言及しながら次のように付け加えた。
「バルセロナはポルトガルと似ているし、そこで反撃できる可能性もあると期待しているよ」
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも、現状について次のようにコメントしている。
「車の長所と短所が少しずつ見えてきているところだ。ポルトガルのコンディションはすごく異常だったし、バルセロナが普通のレースになれば、さらに多くのことがわかるはずだ」
こうした中、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、スペインGPではレッドブルが有利なのではないかと考えている。
「僕はスペインではレッドブルがやや有利だろうと思っている」
母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったラルフ・シューマッハはスペインGPの舞台となるバルセロナ-カタルーニャ・サーキットに言及しながら次のように付け加えた。
「低速コーナー、中速コーナーがあるサーキットの特性は彼ら(レッドブル・ホンダ)に合っているだろう」