1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はF1王座を守るために今年はより大きなリスクをとる必要があると考えている。
「エキサイティングなものになるよ」
2021年のF1タイトル争いについて『f1-insider.com』にそう語ったビルヌーブは次のように続けた。
「すでにイモラ(第2戦エミリア・ロマーニャGP)において、我々はルイスがもはや大きなリスクをとることに慣れていないことを目にした」
「だが、彼はこれからそうしていく必要がある。これまでとは違って、ほかのチームに自分と対等に渡り合えるドライバーがいるわけだからね」
もちろんビルヌーブが言及したのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のことだ。そして、ビルヌーブはハミルトンがイモラでとったリスクのひとつがスタートだったと考えている。
「ルイスは自分が外側にいたわけだから、マックスに対して引くべきだったんだ。そうしなかったことで、彼は最初のコーナーで自分のレースを台無しにしてしまった」
そう語ったビルヌーブは次のように続けている。
「また、ルイスはほかのクルマを周回遅れにするときにリスクをとりすぎていた。それはここ数年の彼にはなかったことだと思うよ」
「彼は自身のチームメートであるバルテリ・ボッタスのクラッシュによる赤旗で救われたが、それに頼ることはできないよ」
ビルヌーブは、現在のハミルトンとフェルスタッペンの争いは、かつてミハエル・シューマッハに挑戦した自分の戦いを思い起こさせるものだと次のように語っている。
「今のハミルトンのように、シューマッハは僕という若い挑戦者と戦わなくてはならなかった。そして、彼はそれに対応することができなかった」
ビルヌーブは、自分が1997年にシューマッハに勝つことができた背景には、チームメートであったハインツ-ハラルド・フレンツェンの存在が大きかったと考えており、フレンツェンは当時シューマッハのチームメートを務めていたエディ・アーバインよりもうまく自分をサポートしてくれたと語っている。
そして、それと同じことが今年のメルセデスとレッドブル・ホンダにも当てはまるとビルヌーブは考えている。
「レッドブルに新たにやってきたセルジオ・ペレスは、メルセデスで5年間ドライブしてきたボッタスよりもすでに強いよ」
「ボッタスがハミルトンを助ける以上に、ペレスがマックスを助けると思うよ」
実際のところ、ビルヌーブは若いジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)が控えているだけにボッタスが非常に厳しい状況に置かれているのは確かだと考えている。
ビルヌーブはエミリア・ロマーニャGP決勝で起きたボッタスとラッセルのクラッシュに言及しながら次のように語った。
「トト・ヴォルフ(メルセデスF1チーム代表)が全く理解できないよ」
「なぜ彼はボッタスとのクラッシュをラッセルのせいにしたんだろう?」
「ボッタスは自分の後継者候補に抜かれそうになっていることをよく知っていたからこそ、右に動くことで重大な事故を起こすリスクを冒したんだ」
「それは、シーズンの2戦目でボッタスの緊張感がどれほど高まっているかを示したものだ。そして、それが改善することはないだろう。彼はあまりにも遅すぎるからね」
今年50歳となったビルヌーブは次のように付け加えた。
「そうでなければ、彼はウィリアムズを相手にあんなに必死になって自分のポジションを守る必要はなかったはずだよ」