ここまでに2レースを消化した2021年F1シーズンだが、この2レースにおけるひとつの特徴と言えるのが、昨年から今年にかけてチームを移籍したドライバーたちが苦戦を強いられていることだ。
フェラーリからアストンマーティンに移籍したセバスチャン・ベッテル、ルノーからマクラーレンに移籍したダニエル・リカルド、そしてマクラーレンからフェラーリに移籍したカルロス・サインツはいずれも以前から同じチームで走っていたチームメートに後れをとってしまっている。
さらに、3年ぶりにF1復帰を果たしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)もまだ本来の力を発揮できる状態とはなっていないようだ。
それらのドライバーが苦戦している理由のひとつは、今年のプレシーズンテストの短さによるものだと考えている者も少なくない。
2020年には合計6日間だったプレシーズンテストだが、今年はわずか3日に減らされてしまっていた。つまり、1人のドライバーがテスト走行できたのは1日半だけということになり、これがドライバーの準備に大きな影響を与えたのは間違いない。
中でも、まったく新しいF1マシンへの対応を求められたチーム移籍組のドライバーたちにとってはそれがハンディキャップとなったのは確かだろう。
しかし、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルは、現在新たなF1マシンへの適応に苦しんでいるリカルドを始めとする移籍組ドライバーたちのことについて質問されると次のように答えた。
「それが我々にとってサプライズだったかと言えば、そうではないよ」
「別のクルマに乗り換えるのが簡単なことではないのは分かっているからね」
「これらのドライバーはいずれも非常に才能があり経験も豊富だ。しかし、最新F1マシンはコントロールが難しく、最後のコンマ数秒を縮めるのはそう簡単なことではないんだ」
「これは今に始まったことではないし、ダニエルと我々のエンジニアたちにはこの問題を解決できるだけの経験があると思っている。単に時間の問題さ」
「だが、1日半しかテストができなかったからといって文句を言うべきではないよ。金を節約するために全チームがそれに合意したんだからね」
「これ以上この話題を掘り下げたところで意味はないよ」
しかし、ザイドルは2022年に向けてはF1もテスト日数の改善に動くことが好ましいと考えている。それは、2022年にはこれまでとは大きく異なる新技術レギュレーションが導入されるためだ。
かつてWEC(世界耐久選手権)でポルシェチームを率いて数々の成功を収めたザイドルは次のように語った。
「そうした状況においては、収集した情報を分析してそれに対応するために2回のテストを間隔をあけて実施する方がいいよ」