今年は日本のスーパーGT選手権で戦うことになっている松下信治が、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)の強みは失敗を恐れないことだと語った。
今年小林可夢偉以来7年ぶりの日本人F1ドライバーとしてアルファタウリ・ホンダでデビューを飾った角田は開幕戦バーレーンGP予選ではチームメートのピエール・ガスリーに大きな差をつけられたものの、決勝では下位から追い上げて見事9位入賞。デビューレースでポイントを獲得した最初の日本人F1ドライバーとなった。
角田はデビュー戦を迎える前のインタビューで、ミスを恐れずにデビューシーズンに臨むつもりだとコメントしていたが、2020年のF2選手権でライバルとして角田と戦った松下は、そういう姿勢が角田の最大の強みだと考えている。
「角田のいいところは、あまり気にしないところだと思います」
『motorsport.com』にそう語った27歳の松下は次のように続けた。
「彼はミスを犯しても次の行動に移るだけなんです。これがすごく重要なことです」
「ミスをすれば、ほとんどのドライバーは次はもうミスはできないと考えてしまうものです。しかし、彼はただ『僕はミスをしてそこから学んだ』と言うだけです。そしてまた前に進むんです。それが彼の強みです」
「アルファタウリにはかなり競争力がありますし、楽にトップ10を狙えるでしょう。だから、彼も素晴らしいシーズンを送ることができると思います」
「それに僕はガスリーとGP2(2015年と2016年)でレースをしたことがありますので、彼がどれほど速いかも知っています」
「角田が彼に対してどういう戦いをすることができるのか、それが楽しみですね」
2018年に日本でF4チャンピオンとなった角田は2019年にヨーロッパに渡ってF3に挑戦。そして2020年にF2にステップアップしランキング3位となると2021年にはF1デビューとここまでトントン拍子にキャリアを駆け上ってきている。
F3とF2で角田のライバルとして戦った松下は、当時の角田に関して次のように語った。
「2019年には彼はF3にいて、僕はそこで初めて彼に会いました」
「僕たちはユーロフォーミュラの開幕戦で一緒にレースをしたんですが、あのときの彼はそれほど強くはありませんでしたし、ミスも犯していました。でも、昨年カーリンでレースをするようになってから彼は大きく成長しましたし、かなり冷静になったと僕は思っています」
「予選で彼が速いのは疑う余地もないですが、レースでは序盤はかなり控えめでその後プッシュするんです。タイヤがまだ使えますからね」
かつてマクラーレンの開発ドライバーを務めたこともある松下は次のように付け加えた。
「F1では最初からすぐにアグレッシブに行く必要があります。彼が改善する必要があるのはそこでしょうね。だけど、彼にはそれができると僕は思っています」