今季からアルピーヌという名称でF1活動を行うことになったルノーのF1ワークスチームだが、伝えられるところによればウィリアムズとの関係強化を進め、うまくいけば自分たちのセカンドチームにしたいと考えているようだ。
かつてはレッドブルのエンジンパートナーとして多くの成功を収めてきたルノーだが、2014年に現在のハイブリッド方式F1エンジンが導入されてからはその勢いが衰えてきてしまっており“顧客離れ”が進んできてしまっている。
実際のところ、昨年までルノーエンジンを搭載していたマクラーレンも今季からメルセデスエンジンにスイッチしてしまい、今年はついにルノーエンジンを搭載するF1チームは自分たちのF1ワークスチームであるアルピーヌだけとなってしまっている。
こうした中、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』が報じたところによれば、ルノーは現在メルセデスエンジンを搭載しているウィリアムズを自分たちの仲間に取り込むことを目指して働きかけを行っているという。
現在はレッドブルにはアルファタウリというセカンドチームがあり、自分たちの育成プログラムに所属する若手ドライバーの中で優れた者に対し、まずアルファタウリでF1経験を積ませるという仕組みを有している。
そして、フェラーリもハースやアルファロメオとの間に事実上のセカンドチームと言ってもおかしくないほどの強固な関係を築いている。現在アルファロメオに所属しているアントニオ・ジョビナッツィ、そして今年ハースからF1デビューするミック・シューマッハもフェラーリのアカデミー出身ドライバーだ。
ルノーのCEOを務めるルカ・デ・メオも、自分たちもそうしたセカンドチームを持つことができればそのチームに自分たちの若手ドライバーを投入することが可能となり、将来に向けたドライバー育成にも大きく役立つとの考えを持っているという。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』はこれに関して次のように報じている。
「このスポーツを理解している者なら誰でも知っていることだが、デ・メオはアルピーヌが単独でいる限り、3つのカスタマーチームを持つメルセデスと戦うことなどできないことが分かっている」
ルノーも自分たちの若手育成プログラムを運営しており、現時点では中国人ドライバーのチョー・ガンユー、デンマーク出身ドライバーのクリスチャン・ランガー、オーストラリア出身のオスカー・ピアストリといった将来有望なドライバーを抱えている。
だが、現時点ではそれらの若手にF1経験を積むための機会を提供するのが非常に困難な状況となっているのは事実だ。
ルノーの若手ドライバー育成プログラム責任者であるミア・シャリズマンは、もし今年この3人が下位カテゴリーで非常によい成績を収めたとしても、現時点ではF1に昇格させるのが難しい状況にあることを認めている。
「正直に言えば、今のうちにプランAとプランBを用意しておかないといけないし、内心ではそれが分かっている」
そう語ったシャリズマンは次のように付け加えた。
「だが、大丈夫だろうし、うまく対応できるだろうと思っているよ。その3人のドライバーを彼らが目指すところに確実に引き上げることができると思う」
イギリスの名門プライベートF1チームであるウィリアムズだが、近年は成績不振に陥ってしまっていた。そして昨年ドリルトン・キャピタル社にチームを売却。チーム名称こそ変わらないものの、新体制のもとで名門復活を目指している。
ウィリアムズでは現在エンジン供給を受けているメルセデスの所属ドライバーであるジョージ・ラッセルを起用するなど、メルセデスとの協力関係もあるものの、あくまでもチームの独立性を維持する方針を持っていると伝えられており、今後の展開に興味が持たれるところだ。