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【F1決勝レポート】メルセデス大混乱・・・初優勝のペレス「10年待った」50年ぶりのメキシコ人F1勝者誕生!オコン初表彰台、レーシングポイントはダブル表彰台で歓喜!/F1サヒールGP

2020年12月07日(月)5:14 am

F1第16戦サヒールGP(バーレーン・インターナショナル・サーキット)決勝レースが行われた。

●【決勝レース結果】F1第16戦サヒールGP タイム差、周回数、ピット回数

優勝はセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、2位はエステバン・オコン(ルノー)、3位はランス・ストロール(レーシングポイント)。

■ペレス、初優勝

「何て言えばいいんだ。10年、長かった。この瞬間をずっと夢見ていたんだ」

レース後インタビューでペレスは声を絞り出すように応えた。

メキシコ人ドライバーとしては、1970年ベルギーGPのペドロ・ロドリゲス以来、なんと50年ぶりにメキシコ国歌がF1の表彰台で流れた。

■オープニングラップから大混乱

レースはオープニングラップから大混乱だった。1周目のターン4、イン側のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がバランスを崩してアウト側のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)に接触。それを一歩引いていたアウト側のフェルスタッペンがアウト側に逃げたものの行き場がなくなり、コース外でコントロールを失ったフェルスタッペンはバリアにフロントから刺さった。

ここでルクレールとフェルスタッペンがリタイアになったが、ペレスは運良くコース上に残ってピットインしたが、コースに復帰した時には最下位だった。

レースはしばらくメルセデスのジョージ・ラッセルがリード。2番手はバルテリ・ボッタス(メルセデス)という順位で、それ以下はDRSトレインの中、時折、激しいバトルが見られた。

■メルセデス、タイヤ交換で大混乱

レースが大きく動いたのは62周目、バーチャルセーフティカーが出された時だった。これがF1デビューのジャック・エイトケン(ウィリアムズ)が最終コーナーでオーバーランしてバランスを崩しながらハーフスピンすると、フロントウイングをアウト側のバリアに当ててしまい、フロントウイングを壊してしまった。

ウィリアムズのフロントウイングがコース上に落ちたことから、バーチャルセーフティカーが出された。

ここでメルセデスは予定外となる2回目のピットストップを実行。しかも2台連続だ。メルセデスとしては安全のためにタイヤ交換をしておこうというプランだったが、これが裏目に出た。

まずトップのラッセルがピットインしてハードタイヤからミディアムタイヤに交換したが、5.3秒とやや時間がかかってピットアウト。

その後ろで待っていたハードタイヤのボッタスがようやくミディアムタイヤに交換をしようとしたが、まずタイヤが用意されていなく、さらに左フロントタイヤがハマらなかった。熱くなったカーボンブレーキからは炎が出ている。そのままミディアムタイヤをどうにか着けようとするが、リヤもまたジャッキアップして、今度はその装着したばかりのミディアムタイヤを外して、ハードタイヤに交換してピットアウトしていった。ボッタスは27.4秒のピットストップになってしまった。

これでラッセルが完全に有利な状況になったと思われたが、もう一度ピットではミディアムタイヤを用意していた。先ほどのボッタスが再び交換するかと思われたが、ピットに呼ばれたのはラッセル。「ジョージ、ミックス・タイヤセットになっているから、もう一度ボックスしてくれ」というチーム無線だ。

どうやら、2台同時に緊急ピットインしたため、ピットクルーたちがタイヤセット選択で混乱してしまったようだ。FIAスタッフもメルセデスのピットでピレリのスタッフに聞き取り調査をしていた。何があったのかはレース後にチーム側からの正式発表待ちとなる。

ここでトップになったのがペレスだ。2番手はオコン、3番手はストロール、4番手にボッタス、5番手にラッセルという順位だ。

87周のレースは、69周目に再開された。ここから18周のスプリントレースとなる。

5番手に落ちたラッセルはミディアムタイヤを履いており、ハードタイヤのボッタスを今回新採用のセクター2エリアで華麗にオーバーテイクして見せた。

ラッセルはそこからファステストラップ連発で2位までズバズバと気持ち良く抜きながら順位を上げていき、ペレスとの一騎打ちというところまで上がってきた。初優勝はペレスか、ラッセルか、という状況。2台は2.2秒差だ。

しかしここで信じられないような無線がメルセデスからラッセルにまた入ってきた。「左リヤがパンクしているようだ」。これでラッセルは4回目のピットインをしてソフトタイヤに交換することになった。ラッセルは「アーー!なんて言っていいかわからない!」と冷静さを失いかけていると、チームは無線で「集中していこう」と伝える。

これでラッセルはトップから24秒差の15番手に落ちてしまい、初優勝のチャンスを失うことになった。失う物はないラッセルは、ソフトタイヤでファステストラップを連発しながら怒濤の追い上げを見せるが、9位が精一杯だった。

「このタイヤ最悪だ」と訴えるボッタスは8位でチェッカーフラッグを受けた。ルイス・ハミルトン(メルセデス)不在のメルセデスにとっては珍しいミスが続いた散々なレースだった。

■ペレス、悲願の初優勝

その後は、レーシングポイントのクルーも祈るようにモニターを見つめていたが、ペレスがそのままトップでチェッカーフラッグを受けて10年目にして念願のF1初優勝を果たした。序盤で最後尾に落ちてからの見事なばん回だった。

「イエス!チェコ、1位だ!」とチームが伝えると、ペレスは泣きながら「何て言っていいかわからない。ありがとう」とだけ伝えた。3位にはストロールが入り、レーシングポイントのクルーは大はしゃぎだった。

2位はオコンでこちらも初表彰台を獲得。「イエス!」とこちらも大喜びだ。

ペレスは、チームオーナーのローレンス・ストロールとハグをする時、少し距離があるようにも見えた。ペレスをセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と交代させる決断をしたのはローレンス・ストロールだからだ。

念願のF1初優勝を果たしたペレスだが、来季のシートは現時点で決まっていないが、ペレスにチャンスが残されているのはレッドブル・ホンダのシートのみだ。今日も結果が奮わなかったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)がシートを失う場合、その空いたシートにはペレスかニコ・ヒュルケンベルグが候補として挙がっている。ペレスは最高の結果を残したことでレッドブル首脳陣の心を動かすことができたのだろうか。ペレスは「もし2021年のシートが得られない場合、2022年に戻ってくるだけさ」とインタビューで答えている。

ホンダF1勢は、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)が6位、ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)が7位、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が11位、、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はリタイアだった。

大混乱と感動のF1サヒールGP決勝レースのプレイバックは、DAZNで期間限定で配信している。

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