ルイス・ハミルトン(メルセデス)が、自分は単に「ラッキー」だったわけではないと主張した。
新型コロナウイルスの影響を受けて全17戦に縮小された2020年F1シーズンだが、ハミルトンは第14戦トルコGPで今季10勝目をあげて自身通算7度目のF1ドライバーズタイトル獲得を達成。ついにミハエル・シューマッハが持つF1史上最多チャンピオン記録に並んでいる。
これにより大きな賞賛を受けている35歳のハミルトンだが、F1関係者やドライバーたちの中にはハミルトンがこれだけの成績を収めることができたのは単に2014年以降最強F1マシンを手にし続けることができたためであり、運がよかっただけだと考えている者たちもいる。
こうした声に対し、ハミルトンはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「若いドライバーは、ミハエル・シューマッハがどうやってあれほどの成功を収めることができるパッケージ(F1マシン)を用意することができたのか、あるいは今回僕がメルセデスでそうすることができた理由を理解していないんだ」
「彼らのうちの半数は、優れたクルマを手にすることができた僕が幸運だっただけだと考えている。だけど、今の僕にはかつてミハエルがやったことがよく分かるよ」
「クルマとドライバーが完璧に調和させるためには、頭がよく、覚悟を持っているクリエイティブな人たちが集まったグループを正しい方向で開発できるように舵取りをしなくてはならないんだ」
そのために毎週自分のチームと会議を行い、状況を分析するとともに修正を提案してきたというハミルトンは次のように続けた。
「僕のリクエストでこういうことを何度もやったし、グループもより大きくしてきた。そして僕には次のクルマはどういう方向で行くべきか常に分かっていたよ」
「そういう直接的な会話が僕にとって一層重要なものになっていったんだ」
実際のところ、2012年までメルセデスのモータースポーツ責任者を務めていたノルベルト・ハウグは母国ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に対し、シューマッハとハミルトンには類似点がいくつかあると次のように語っている。
「どちらも自分たちの仕事を愛している。彼らはどちらもほかの誰よりも自分自身に厳しい。彼らはどちらも決してあきらめない。そして、彼らはどちらも“前向きな不満”を抱いている」
「そう言うと矛盾しているように聞こえるかもしれないが、それがスーパーチャンピオンとなるための秘薬なんだ。それがなくても勝者にはなれるだろう。だが、ずっと勝ち続けることはできないよ」