元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、自分と同じオランダ出身のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が現実的な見方ができているのはいいことだと考えている。
新型コロナウイルスによる大打撃を受けた2020年のF1だが、コストをセーブするために2021年には2020年型マシンを引き続き使用することになっており、その開発も厳しく制限されている。
フェルスタッペンは今週に入って、そのルールにより2021年シーズンもレッドブル・ホンダに宿敵メルセデスを倒すチャンスが生まれることはないだろうとの考えを示したと報じられている。
「マックスはいろんなことに関して全く現実的なんだ」
2006年にレッドブルから3レースに出走した経験を持つ39歳のドーンボスは『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語ると次のように続けた。
「目標を念頭に置いておく必要があるし、レッドブルにとってそれはチャンピオンになることだ。問題は、来年にはクルマの改善手段がほとんどないということだ」
「クルマを修正するために使えるわずかなジョーカーを除けば、ほとんど何もできることはないからね」
ドーンボスが語ったジョーカーとは、2021年のF1マシン修正のために設けられたトークン制度のことだ。F1チームはトークン(開発引換券のようなもの)を利用することでごく限られた範囲のマシン修正だけが認められることになっている。
F1関係者やメディアの中にはフェルスタッペンの発言は敗北主義的に聞こえると考えている者もいるようだ。だが、ドーンボスは現実的なアプローチをとる方が役に立つことも多いのだと主張している。
「もし、うまくいかないことが分かっていながらタイトル獲得に焦点を合わせても意味がないよ」
「結局のところ、レッドブルは彼(フェルスタッペン)を中心に据えたチームなんだ」
そう語ったドーンボスは次のように付け加えた。
「だから、彼は今を楽しみながら、十分に戦えるマシンになるまで待つしかないんだ」
一方、現在レッドブルにワークスエンジンを供給しているホンダが2021年限りでF1から撤退することが確定したことを受け、フェルスタッペンはメルセデスへ移籍するチャンスをうかがうことになるだろうとのうわさもささやかれている。
だが、ドーンボスはこうしたうわさに関して次のように語っている。
「私は彼がそうすることを望むとは思わないよ」
「チーム体制も時とともに変化するし、もしマックスが移籍を決断したとしても、彼ら(メルセデス)が今後も今と同様に強いかどうかは分からない」
「だが、レッドブルにいればチーム全体が彼のためにあるんだ。それに彼らはかつて4年連続でチャンピオンとなっているわけだし、それは間違いなく可能だからね」
ドーンボスは、レッドブル・ホンダが2021年もタイトル争いができるとは思えないものの、少なくともホンダエンジンのパワー改善には期待できるだろうと次のように付け加えている。
「彼ら(ホンダ)は成功を収めて去りたいと考えているはずだよ。マックスもそれに期待するべきだろうね。シャシーには何も問題はないわけだからね」