フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットが、現在のスランプ状態は2020年シーズンに限ったことだと主張した。
ビノットはテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に対し、2020年シーズンには酷いスランプに陥っているフェラーリだが、最近投入した改良パーツにより少なくともいい方向に進みつつあるという自信が持てていると語り、次のように続けた。
「我々は過去数年間のうち何度かタイトルや勝利を狙う戦いができていた。だが、1990年あるいは1994年のように1勝もできなかったシーズンもあった」
「2020年は特に困難なシーズンとなっている。それは自分たちの問題によるものだけではなく、コロナによるより大きな側面によるものだ。我々は望んだような開発や改善を行うことができなかったからね」
「完全に新しいジェネレーションのクルマに変わる2022年シーズンも近づきつつあるし、近いうちにそのプロジェクトに大きなエネルギーを注ぎ込まなくてはならなくなる。2020年は例外のシーズンに留まることになるだろう」
F1関係者の多くは、2020年のフェラーリにおける最大の問題はエンジンだと考えている。
2019年には最強を誇るメルセデスF1エンジンに勝るとも劣らぬエンジンを投入したフェラーリだったが、そのエンジンには非合法な技術が用いられているのではないかとの疑惑の目が向けられていた。
だが、そのエンジンの検証を行ったFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)とフェラーリが突然“秘密の合意”を結んだことが明らかとなったが、なぜか2020年のフェラーリエンジンは前年のものに比べてパワーが大きく失われていた。
フェラーリが何らかの不正を働いていたのではないかとの疑惑を否定したビノットだが、彼自身にF1最大の名門チームであるフェラーリを導くだけの強いリーダーシップがないのではないかと尋ねられると次のように反論している。
「以前ならその質問にはもっと怒っていただろうね」
「だが、私はテーブルにこぶしをたたきつけても解決には至らないと信じているんだ。我々は誤ったアプローチをとったことでこのプロジェクトをやり損ねてしまったし、コロナが我々の動きを止め、痛めつけたということさ」