マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の父親であり、自身もかつてF1で戦ったことがあるヨス・フェルスタッペンがレッドブルに対して警鐘を鳴らした。
ホンダエンジンを2021年シーズン限りで失うことになったレッドブルだが、うわさによればフェルスタッペンの契約にはワークスエンジンを持つことを条件とした契約解除条項が盛り込まれていると考えられており、2022年にはメルセデスへの移籍を目指すことになるのではないかとのうわさがささやかれている。
少し前にレッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、フェルスタッペンとの契約にはエンジンに関係する条項はないと否定したものの、その後レッドブル総帥であるディートリッヒ・マテシッツの右腕的存在だと言われているチーム首脳のヘルムート・マルコが「マックスの契約には戦闘力のあるエンジンを手にすることが盛り込まれているが、それは我々にとっても大前提だ」と語るなど、チーム首脳たちの発言にも足並みが揃っていない状況だ。
ちなみに、マルコは「F1タイトルを狙うことができるエンジンがなければ、我々はこのプロジェクトに興味が持てない」とも語り、2022年以降のエンジンがどうなるかによってはレッドブルがF1から撤退する可能性もあると示唆している。
だが、ホンダのF1撤退は別としても、フェルスタッペン親子が現在のレッドブル・ホンダのパフォーマンスに満足していないことは明らかだ。
ヨス・フェルスタッペンは、すでにランキングトップのルイス・ハミルトン(メルセデス)と自分の息子の間にすでに77ポイントもの差がついているにもかかわらず、マルコがまだ2020年のF1タイトルを獲得できるチャンスが消えたわけではないとコメントしたことに言及しながら母国オランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』に次のように語った。
「ヘルムートは自分が言いたいことは何でも言うことができる。だが、私はそうなるとは思わないし、失望しているよ」
「とりわけ、(2020年シーズンの)スタート時点で私は非常にがっかりしたんだ。その後、私には本当の状況が見えてきた。言葉もないよ。我々は遅すぎるんだ」
「我々はチャンピオンになることを目指している。だが、今年はそうはならないだろう。あるいは、少なくとも今のものとは違うクルマでなければ、チャンスはないよ」
「我々はそれを受け入れるしかない。だが、それは我々が望んでいることではない」
「メルセデスとの差がこれほど大きいことに私は驚かされている」
「メルセデスは、チームを形作っている人たちによって勝利しているんだ。だから、レッドブルもチームをもっとよく組織すべきだし、どこに問題があるのかを発見し、それに取り組まなくてはならない」
「結局のところ、重要なのはラップタイムだ。だが、そこに目をやれば我々は劣っているよ」
依然としてメルセデスとの差は大きいにせよ、ホンダF1エンジンのパフォーマンスが大きく向上してきているのも確かであり、もしも2022年以降もホンダがF1を継続するならばフェルスタッペン親子もそれに期待することはできたかもしれない。
だが、ホンダが2021年シーズンを最後にF1活動から手を引くことになった今、フェルスタッペン親子にとっても難しい選択が迫られることになりそうだ。
「どうなるか様子を見ていくよ」
ヨス・フェルスタッペンはオランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』にそう語り、次のように続けた。
「外部に向けて言っても意味はない。だが、レッドブルにはチャンピオンになることができるだけのクルマを用意すべき時だと言えるよ」
「もし来年マックスが戦闘力のあるクルマを手にすることができれば、彼ら(レッドブル)は何も心配する必要はないだろう」
マルコはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。
「ホンダは2021年には新たなエンジンを造ってくる。それによってメルセデスに対する弱点をいくらか埋め合わせることができるはずだ」