かつてレッドブルに所属していた元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、現在のアレクサンダー・アルボンは自分を見失ってしまっているようだと考えている。
2019年にレッドブルのジュニアチームであるトロロッソでF1デビューを飾ったイギリス生まれのタイ人ドライバーであるアルボンだが、不振のピエール・ガスリーに代わって第13戦ベルギーGPからレッドブルに昇格。2020年もそのままマックス・フェルスタッペンのチームメートとしてレッドブルで戦っている。
だが、今季ここまでのレースを見る限りアルボンがレッドブル・ホンダの期待に応えるだけのパフォーマンスを発揮することができていないのは明らかだ。
「彼にとっては本当に厳しい状況となっているよ」
2005年にミナルディで8レース、2006年にレッドブルから3レースに出走した経験を持つオランダ出身のドーンボスはそう語ると次のように続けた。
「アルボンは完全に迷子状態だ。彼はあそこ(レッドブル)で挫折してしまっている」
「私は多くの人たちが彼のことを悪く言っているのが本当に嫌なんだ。だって、彼は本当に優秀なレーシングドライバーだからね」
「だが、モータースポーツとはこういうものでもある。一度道を見失ってしまえば、それをまた見つけるのには長い時間がかかることもあるよ」
また、元F1ドライバーのJ.J.レートは、レッドブルがアルボンに替えてセバスチャン・ベッテルと契約をする可能性もまだあると考えている。
「レッドブルがチームの競争力をさらに高めるためにあらゆる選択肢を検討しているのは確かだよ」
レートは母国フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』にそう語ると次のように続けている。
「マックス・フェルスタッペンは彼と一緒に走るのは誰にとっても大変なことだよ。彼らにとってアルボンとピエール・ガスリーが身近にある選択肢だ。だが、ベッテルだってそうだ」
「彼が最高の状態のときにどういう力を示すことができるか、それをチームも知っているからね」
レートはさらに、今季限りでフェラーリを離脱することが決まっているベッテルに関して来季アストンマーティンと名前を変えるレーシングポイントと契約するのではないかとのうわさがあるものの、ベッテルの本音は2021年にレッドブルに復帰したいと考えているのではないかと次のように続けている。
「ベッテルは間違いなく、あのチーム(アストンマーティン)に来年何ができるかということを考えるだろう」
「確かに、アストンマーティンというブランドはチームに一定の価値をもたらすだろう。しかし、実際に彼らにどういう力があるのかはまだ分からないよ」
今年、2019年型メルセデスF1マシンを違法にコピーしたと判定されたレーシングポイントは現在その裁定に対して控訴手続きを行っている。
現時点ではメルセデス、レッドブルに次ぐコンストラクターズランキング3番手につけているレーシングポイントだが、仮にその控訴審でも敗訴ということになれば、2021年からスタートするアストンマーティンとのプログラムにも大きな影響が及ぶのは間違いないだろう。