F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)はスパ・フランコルシャンで行われる次戦F1ベルギーGP(30日決勝)から“パーティーモード”とも呼ばれている予選用エンジンセッティングの使用を禁止する方向で動いている。
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その理由は現在圧倒的な強さを誇っているメルセデスのアドバンテージを減らすことにより、予選やレースでもっと拮抗した戦いが繰り広げられるようにするためだろう。
実際のところ、メルセデス最大のライバルであるレッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、このルール変更によってレッドブル・ホンダがメルセデスとの差を大きく縮められるチャンスが生まれるだろうと示唆している。
だが、たとえパーティーモードを禁止したところで、もくろみ通りにメルセデスとライバルチームの差が縮まるとは限らないと考えている者も少なくないようだ。
たとえば、元F1ドライバーのJ.J.レートは母国フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』に次のように語っている。
「それによってメルセデスがライバルたちよりも苦しめられると誰もが言っている」
「だが、今年のクルマの速さを見れば、それはエンジンだけによるものではないと認める必要がある」
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフも、予選モード禁止によってレースでは狙いと逆の結果になることも十分に考えられると警鐘を鳴らしている。
「パーティーモードと呼ばれているものは我々にとっては素晴らしいものだよ。予選でそれを使うことができるからね」
「もし今後そうすることができなくなれば、そのときはレースでもっと大きなパワーを使えるようにするだろう」
「ルイス(ハミルトン)も言ったように、パワーを失うだろうという心配などしていないよ」
こうした中、F1ディレクターを務めるマイケル・マシは、FIAがF1エンジンの予選モードを正式に禁止する方向で動いているのは事実だと認めている。
「我々のエンジニアたちは非常に多くの準備的作業を行ってきたし、パワーユニットメーカーたちとも情報交換を行ってきている」
スペインGPが行われたバルセロナでそう語ったマシは次のように付け加えた。
「だから、我々としては十分に自信を持っているし、スパでのレースを前にこの技術指示を発令するつもりだよ」
FIAでは、今回の予選モード使用禁止の目的はパワーユニットとも呼ばれる非常に複雑な現在のF1エンジンをモニターすることをもっと容易にするためだとしている。
ヴォルフは、それも事実だろうがほかの理由もあるはずだと考えている。
「常に最速チームをスローダウンさせようとするものなんだ。だから競技と関連づけてそれを解釈しなくてはならない」
母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』にそう語ったヴォルフはここでも次のように次のように付け加えている。
「だが、我々の側からすれば、レースでのエンジンをさらにパワフルにするだけだ。予選で使えなくなるものがあるわけだからね」