先週末に行われた今季のF1第6戦スペインGPではルイス・ハミルトン(メルセデス)がポール・トゥ・ウィンで今季4勝目を達成。ミハエル・シューマッハが持つ歴代最多ドライバーズタイトル獲得記録と並ぶ7回目の戴冠達成に向けてライバルたちとの差をさらに広げることに成功している。
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メルセデスの強さの秘密のひとつがその卓越したエンジンパワーにあるのは確かだろう。だが、伝えられるところによれば、次戦F1ベルギーGP(30日決勝)以降は複数のエンジンモードを使用することが禁止されることになると考えられている。
そうなれば、これまでのように予選専用モードを使うことができなくなるため、メルセデスの予選でのアドバンテージが一定程度小さくなるものと想定されており、今季最大のライバルであるレッドブル・ホンダにとってはメルセデス攻略のチャンスが生まれる可能性もありそうだ。
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはシルバーストン・サーキットで行われた第5戦70周年記念GPで今季初優勝を遂げたが、レッドブル首脳のヘルムート・マルコはスペインGPの舞台となったバルセロナで次のように語っていた。
「我々はまだ大きな目標を諦めてはいない」
「マックス・フェルスタッペンを歴代最年少F1チャンピオンにしたいと思っているよ」
シルバーストンでの勝利によりポイントランキングではハミルトンに次ぐ2番手に浮上したフェルスタッペンだが、先週末のスペインでもバルテリ・ボッタス(メルセデス)を攻略して2位フィニッシュを決めている。
しかし、ハミルトンとの差は37ポイントに広がっており、フェルスタッペンはいくらエンジンモードに関するルールが変わったとしてもこの差を縮めていくのは難しいと考えているようだ。
「スパでも同じ光景を見ることになると思うよ」
スパ・フランコルシャンで開催される次戦ベルギーGPに言及したフェルスタッペンはバルセロナで母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように続けた。
「メルセデスほどの強いチームが1週間で突然変わることなどないさ」
「先週勝ったからと言ってすぐにF1タイトルを狙えるなんて言えないよ」
「スパでは勝てるとは思っていないよ。だけど、少なくともまたある程度ポイントをとることができるのを期待している」
ハミルトンのチームメートであるボッタスも2020年のF1ドライバーズタイトル獲得に向けてはすでに諦め気味だ。
現在ハミルトンに43ポイントの差をつけられてランキング3番手に位置しているボッタスは次のように語った。
「どうしてこれほどポイント差が開いたのか本当のところ分からないんだ。だけど、あまりにも大きいね。またもやタイトルが遠のいていくのが見えるよ」
しかし、メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チーム代表)はまだフェルスタッペンに対して油断するわけにはいかないと考えているようだ。
ヴォルフは、もしも開幕戦オーストリアGP決勝でフェルスタッペンがマシントラブルによるリタイアを喫していなければこれほど大きなポイント差にはなっていなかったはずであり、今後自分たちにもトラブルが発生しないとは言い切れないと示唆しながら次のように語った。
「彼(フェルスタッペン)がトラブルを抱えたことを考えれば、37ポイントは十分な差ではないよ」