突然のF1ルール変更がレッドブル・ホンダに“絶好のチャンス”をもたらすかもしれない。
新型コロナウイルスのパンデミックにより開幕が大幅に遅れた2020年のF1だが、いざシーズンがスタートしれみればやはり現チャンピオンチームのメルセデスが圧倒的とも言える強さを見せ、開幕から第4戦まで4連勝を飾っていた。
だが、先週末にシルバーストン・サーキットで開催された第5戦F1 70周年記念GPではメルセデスがタイヤの摩耗に苦しめられ、ついにレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに今季初優勝を許してしまった。
これは、安全のためにタイヤの最低空気圧がこれまでよりも高められたことがメルセデスに災いしたものと考えられている。
そして、メルセデスにとってはさらに厳しいルール変更が導入される見込みとなっている。すでに伝えられているように、F1が突然第7戦ベルギーGP(30日決勝)から“パーティーモード”とも呼ばれている予選専用エンジンモードの使用を禁止する方針を打ち出したのだ。
現時点では正式決定はしていないものの、そのルールが導入されるのはほぼ間違いないようだ。
今季ここまでに3勝をあげてポイントランキングのトップに立っている現F1チャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)はこれに関して次のように語っている。
「我々をスローダウンさせるためなのは明らかだよ。彼らは常に僕たちを遅くしようとしているんだ」
「だけど、僕はこれによって彼らが望むような結果を得られるとは思わないよ」
チームメートのバルテリ・ボッタスもメルセデスは慌てたりはしていないと主張している。ボッタスに言わせれば、ベルギーで導入される新しいルールはどのメーカーのF1エンジンにも同じように適用されるからだ。
だが、実際にはその影響はそれほど小さくはないはずだと考えている者が多いのも事実だ。実際のところ、メルセデスの予選モードはフェラーリ、ルノー、ホンダといったライバルエンジンメーカーのものよりもひときわ高いパフォーマンスを発揮しているのは間違いない。
「僕たちにとっては違いはないだろうね」
そう語ったフェラーリのシャルル・ルクレールは次のように付け加えた。
「僕たちは予選とレースで同じパワーを使っているからね」
フェラーリからエンジン供給を受けているハースのギュンター・シュタイナー(チーム代表)もフェラーリエンジンには予選モードは存在しないと次のように語っている。
「我々にとっては何も変わらないよ。我々には予選モードはないんだ」
ともあれ、予選モードの使用が禁止されることになれば、ここまで予選でメルセデスに大きな差をつけられていたレッドブル・ホンダのフェルスタッペンにもチャンスが生まれることになりそうだ。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコはドイツのテレビ局『RTL』に次のように語った。
「土曜日(予選)にはメルセデスエンジンは我々と比べるとゆうにコンマ7秒も優位に立っている」
「だから、バルセロナ(今週末のF1スペインGP/16日決勝)では我々は彼らには遠く及ばないだろう。そこには2つの長いストレートがあるからね」
しかし、予選モードが禁止されるベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットではすべてが変わってくる可能性もあるとマルコは次のように付け加えた。
「スパからはポール争いができる絶好のチャンスが訪れるだろうと思っているよ」