ブラジルとメキシコのF1レースプロモーターがF1オーナーであるリバティ・メディアに対して法的手段を講じる可能性があると報じられている。
F1は最近、新型コロナウイルスのパンデミックを鑑みてアメリカ大陸で予定されていたレースをキャンセルすることを発表。これにより、今年はカナダ、アメリカ、メキシコ、ブラジルではF1が開催されないことになった。
しかし、この決定に大きな不満を抱えているのがブラジルのレースプロモーターだ。
インテルラゴス・サーキットで開催予定だったブラジルGPのプロモーターであるタマス・ホニィは地元紙『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』に対し、F1がブラジルGPをキャンセルした理由は納得できるものではないと次のように語った。
「契約がキャンセルできるのは不可抗力だという理由がある場合だけだ」
「それは、関係者たちにはなすすべがないといった状況の場合だ。例えばクルマの上に飛行機が墜落するとか、我々(インテルラゴス・サーキット)が1メートルも水没するといったようなことだ」
リバティ・メディアはアメリカ大陸でのレース中止は今後に向けて新型コロナウイルスの状況が不透明であるためだとしているが、ホニィに言わせれば、開催に向けて打てる手はあるはずだということだろう。
ホニィはこの件に関してイギリスの裁判所に救済の申し立てを行うことを検討していると示唆するとともに、メキシコのプロモーターもそれに加わる可能性もあるとしている。
ホニィによれば、2020年のブラジルGPがキャンセルされたことでインテルラゴスのプロモーターは数百万ドルに及ぶ損害を被ることになるという。
「それは非常に大きな経済的損失だ」
「我々はまだチケット販売はスタートしていなかった。だが、スポンサーやサプライヤー、そして従業員に対する責任がある」とホニィは主張している。
全F1チーム中の半分にあたる5チームが世界中が新型コロナウイルス感染の脅威にさらされている中、ヨーロッパからブラジルへ移動することを恐れているという趣旨の書簡を出したと伝えられているが、ホニィはそれに関しても次のように批判している。
「ばかげているよ」
「そんな手紙を我々に書いた者たちはこの選手権のルールを知らないんだ」
「契約書にはチームが望んだときに限りレースが開催できるなどとは一言も書かれていないよ。来たくない者は来なければいいんだ。強制ではないんだからね」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ブラジルのレースプロモーターが強硬な姿勢に出ているのは、リバティ・メディアがブラジルGPの開催地をリオデジャネイロに移すことを検討していることも影響しているはずだと報じている。