フェラーリではすでに現F1チーム代表であるマッティア・ビノットの後任候補を絞り込んだようだと報じられている。
トップ3チームのひとつに数えられるF1きっての名門チームであるフェラーリだが、2020年シーズンは非常に厳しい戦いを強いられる状況となっている。
今季の開幕戦となったF1オーストリアGPでは運にも恵まれてシャルル・ルクレールが2位表彰台に上ったフェラーリだが、第2戦シュタイアーマルクGPではスタート直後にルクレールとセバスチャン・ベッテルが接触し2台ともリタイアするという最悪の結果を迎えてしまった。
だが、その同士討ちはともかく、これまでに行われた2レースの予選ではいずれも1人しかQ3に進めないという近年のフェラーリでは考えられなかった低迷状態に陥ってしまっている。
こういう状況となれば、チーム首脳の更迭が話題に上っても不思議なことではない。
フェラーリの母国イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』によれば、フェラーリでは今週長時間にわたって第3戦ハンガリーGP(19日決勝)に向けてクルマにどういう対策が行われたのかということに関する状況説明が行われたという。
そして、今週末のハンガリーGPでは新たな空力パーツがフェラーリF1マシンに装着されることになると考えられている。
だが、伝えられるところによれば、フェラーリのジョン・エルカーン会長とルイス・カミレリCEOは今後すぐにフェラーリがトップとの差を縮めることができないようであれば「思い切った対応」を行う準備に入っているようだ。
『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は次のように報じている。
「彼らは後任に委ねる計画もしている。それはアントネッロ・コレッタだ」
1997年からフェラーリに在籍しているコレッタは、現在はGTレーシングやフェラーリの中古F1マシンの販売管理プログラムとして知られる「F1コリエンティ」などを担当している人物だ。
ともあれ、フェラーリの不振を嘆くイタリアのメディアの多くはビノット更迭を支持しているようだ。
例えば、『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は「素材がよく、もうシェフは料理することができないというようなことでなくてはならない」と書き、よい素材としてのマシンを用意できなかったフェラーリの現体制を批判している。
だが、ドイツのテレビ局『RTL』のフィーリクス・ガーナー記者は、ビノットは少なくとも今年いっぱいはチーム代表を勤め続けることになるだろうと語っている。
ビノットはチーム代表としてだけでなく技術トップも兼任する形となっており、フェラーリとしても今後体制強化を図る上では慎重な人事計画や戦略が必要となるのは間違いないだろう。
かつてベネトンとルノーでチーム代表を務めていたイタリア出身のフラビオ・ブリアトーレは、ビノットはもはや新技術レギュレーションが導入される2022年に焦点を合わせるべきだと次のように語っている。
「もし私がビノットなら、今年ばかりか来年もあきらめて新レギュレーションが導入される2022年のマシンのことを考えるね。私ならそう決心することを1秒たりともためらわないよ」