最新のうわさによれば、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がレーシングポイントに移籍する可能性が浮上してきているようだ。
カナダの大富豪であるローレンス・ストロールがオーナーを務めるレーシングポイントは2021年にはアストンマーティンと名前を変えることになっている。
今年はライバルチームたちから「ピンクのメルセデス」と揶揄されているレーシングポイントだが、メルセデスとの技術提携により確実にパフォーマンスが向上しており、2020年シーズン序盤にはトップチームにも迫る勢いを見せている。
今季限りでフェラーリと決別することが決まっているベッテルの移籍候補になるのではないかと考えられていたレーシングポイントだが、オーナーの息子であるランス・ストロールとメキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスとはすでに2021年の契約を交わしており、チーム代表のオットマー・サフナウアーもベッテルが加わる余地はないと発言していた。
だが、このほどドイツの『Bild(ビルト)』が報じたところによれば、すでにローレンス・ストロールとベッテルの間では基本合意に至っており、あとは「詳細」な契約条件を詰めるだけになっているという。
ベッテルとストロールは現在どちらもスイスに居を構えており、そこで実際に会って交渉を行っていたものと考えられている。
元F1ドライバーであり、ベッテルがF1デビューを飾った時期にはトロロッソの共同オーナーでもあったゲルハルト・ベルガーは母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。
「この話題はすでにパドックの陰で話し合われていたんだ」
「セバスチャンがレーシングポイントに行くことは私には想像できるよ」
伝えられるところによれば、ペレスと結ばれている現在の契約には解約条項が盛り込まれており、7月31日(金)までにレーシングポイントがそれを行使すれば、ペレスに違約金を支払うことで2021年の契約を解消することができると考えられている。
「私の知る限りでは、ペレスは比較的簡単に解除することができる、いわゆるソフトコントラクト(柔軟な契約)を結んでいるんだ」とベルガーは付け加えている。
さらに、ベッテルの方は、2021年は無報酬で走ることもいとわないようだとも言われている。
だが、ベッテルは現時点ではその報道が事実だとは認めていない。
「僕の将来についてはまだ決まっていないよ」
今週そう語ったベッテルは次のように続けた。
「1年休みをとることになるかもしれないし、まだいろんな可能性が残されているよ」
「ひとつだけ確かなことは、僕はフェラーリとともに現在の不振から抜け出すためにシーズン最後まで可能なことはなんでもするということさ」
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、2021年からストロールが着手するアストンマーティンのF1ワークスプログラムにベッテルが加わることになれば「独創的なコンビネーション」が誕生することになるだろうと考えている。
「彼(ベッテル)は現在最高のエンジンを搭載するマシンを手にすることになる」
ラルフ・シューマッハは『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』にそう語ると次のように付け加えた。
「現時点では、彼ら(レーシングポイント)はメルセデス、フェラーリ、レッドブルと同等だと考えるべきだからね」
F1史上最多ドライバーズタイトル獲得記録を持つミハエル・シューマッハの弟はさらに、ローレンス・ストロールはレッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツと同じことをF1で実現しようとしているようだと次のように続けている。
「それがレッドブルに起きたことだよ。大富豪が真剣にチームを前進させたいと思っているんだ」
「ベッテルも間違いなくその気になっているよ」