コロナ禍による長い中断を経てようやく再始動したF1に、技術規則を巡る論戦が再燃した。レッドブルリンクでの今季F1第1戦オーストリアGPフリー走行初日、レッドブルがメルセデスの「DAS(デュアル・アクシス・ステアリング)」システムに対して正式な抗議を申し入れたのだ。
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元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、オランダ『Ziggo Sport(シーコ・スポート)』に次のように述べる。「レッドブルは、メルセデスに揺さぶりをかけているのだ。心理戦だね」
しかし、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、本来ハンドルはマシンを右や左に操るためのものだとして主張を曲げない。走行中にステアリングでトー角を調整するメルセデスの手法は、「グレーゾーン」ではないかと言うのだ。
その一方で「物ごとの白黒を付けるのは、良いことじゃないか」と話すのは、メルセデスのトト・ヴォルフ。「我々の立場は正しいものだと思う」
抗議が出された7時間後、レースの競技委員会は、同システムを使い続けても良いとのお墨付きを与えた。なお、2021年シーズンには禁止されることが決まっている。
結果レッドブルは、対抗措置として自前のDAS開発を続行せざるを得なくなった。
「今シーズンの残り、(DASについて)検討するよ。それは間違いない」とホーナー。
■次の標的は「ピンクのメルセデス」
そして、「ピンクのメルセデス」と揶揄(やゆ)されるレーシングポイントも、論戦の的だ。
1997年のF1王者ジャック・ヴィルヌーヴは仏『Le Point(ル・ポアン)』に対して、マシンは明らかにカスタマー仕様の「B型メルセデス」だと、きっぱり。
しかもレッドブルリンクでは、フェラーリをも速さで上回っている。
「レーシングポイントは今季、限界まで突き詰めた感がある」と話すのは、ルノー代表のシリル・アビテブールだ。
「もしレーシングポイントが規則に則ってやっているのなら当然、何も気に病むことはない」
カルロス・サインツ(マクラーレン)は、こう話す。「彼ら(レーシングポイント)と戦おうにも、とてもじゃないが手が届かないよ」
■未だくすぶる「FIAとフェラーリの密約」
さらにフェラーリの2019年型パワーユニットを巡っても複数のチームが、フェラーリとFIA(国際自動車連盟)のあいだで密約が交わされたのではないかと、その正当性に不満そうだ。
「去年のことは不満が残るね」と言うのは、前述のヴォルフ。「彼ら(フェラーリ)に対抗しようと、我々も無理に無理を重ねたのだから」
「まずはシーズンを始めてみてどんな状況か、我々自身と、おそらく他チームについて見直すことにする」
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